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~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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裁判員法廷裁判員法廷
(2008/02)
芦辺 拓

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有罪、それとも無罪?被告人の運命は、あなたたち六人に委ねられた。いわくありげな裁判員たち、二転三転する評議、そして炸裂する究極のどんでん返し!裁判員制度のすべてがわかる、傑作リーガルサスペンス。

先日の「探偵Xからの挑戦状!”森江春策の災難”」にタイミングを合わせた訳ではありませんが、「第9回本格ミステリ大賞」候補作の一つ、芦辺拓さんの「裁判員法廷」(文藝春秋)を読みました。

いよいよ来月から裁判員制度がスタートする訳ですが、かなり賛否両論あるこの新制度、個人的には「実際にやってみないと分からない」というのが正直な感想ですが、これによって人の一生が左右される訳ですから無関心ではいられません。

最近では、「やっていない事の証明」が難しいがゆえに多くの冤罪が生まれていると言われている痴漢事件に最高裁で逆転無罪の判決が出たり(今までであればせいぜい「差し戻し」ぐらいではなかったかと思います)、DNA鑑定の精度向上により次々に過去の誤審が判明するなど、色々と話題の多い「裁判」ではありますが、実際に自分が裁判員になったらどうなるのかは(私を含め)意外にあまり知らない人が多いのではないでしょうか。

という事で「本格ミステリ」であると同時に「シミュレーション小説」でもあるこの芦辺拓さんの「裁判員法廷」、非常に興味深く読みました。

ちなみにこの3つの作品が収められた中編集でそれぞれの主人公を務めるのは、いずれも思いもかけず裁判に関わることになった「あなた」自身です。


「審理」

呼出状に従って裁判所を訪れた「あなた」は、傍聴席ではなく――もちろん証言台でも、被告や原告の席でもなく――職業裁判官と同じ並びに用意された裁判員用の座席に腰を下ろします。

裁判員である「あなた」の役目は、職業裁判官とともに法廷での証言や証拠を十分に吟味し、被告人の有罪・無罪を、そして有罪の場合は刑の軽重までも判断することです。


まず今回の事件。

被告人「有賀誠彦」は、あるビルの3階にある「鷺坂コンサルティング」の事務所で、この事務所のオーナーである「鷺坂太一」を殺害したという「殺人」の罪で起訴されています。

検事は、社長秘書のようなスーツを着た愛らしい女性「菊園綾子」。

それに対し被告人の有賀、および彼の弁護人である「森江春策」は、被害者には指一本触れていないと「無罪」を主張しています。

様々な人物が証言台に立ちますが、彼らに対する森江の質問は何か的の外れたものばかり。

一見事件に関係なさそうな話や、時には被告人を不利にしてしまうような証言を次々に引き出していきます。


「赤いてのひら」「古いモノクロ映画のワンシーン」など一見何の繋がりもない数々の事象が、最後には綺麗に真相を照らし出す一筋の光となるあたりはまさしく正統的な本格ミステリであり、菊園検事と森江春策の対決としてもとても楽しめましたが、本来主役であるはずの「あなた」が単なる傍観者のような立場のまま物語が終結したのは、この作品の趣旨から考えると少し物足りない印象もありました。


「評議」

今回の主人公も、一般人でありながら「裁判員」として裁判所からの呼び出しを受けた「あなた」です(ただし第1話の「審理」とは別人)。

今回も被告人の「無罪」を主張している弁護人の「森江春策」ですが、なんと用意していた証人が法廷に姿を現さないという異例の事態に追い込まれています。

第1話「審理」は、検事と弁護人のやり取りを裁判員である「あなた」が見ているシーンが中心でしたが、今回は弁護側の証人が来ないまま閉廷し、物語は職業裁判官3名と一般の裁判員6名が事件について話し合う「評議室」でのやり取りを中心に語られます。

6名の裁判員は年齢も職業もバラバラですが、今回の事件については職業裁判官たちが被告人は「有罪」であるという印象を持つ中で、裁判員の大半は――弁護人「森江春策」の最終弁論になにかしらの影響を受けたのか――それぞれにわずかながら検察側の主張に対して疑問を持っています。


被害者が死に至ったアレについては私の知識不足が原因であまり驚きは得られませんでしたが(「意外な真相」と言うよりは「未知の殺人装置」を引き合いに出されたような印象でした)、ある裁判員の正体(ちょっと大げさかな)についての伏線や、評議の中で少しづつ真相が明らかになっていく過程は存分に楽しめました。


「自白」

今回の裁判では、被告人が罪を認めているにもかかわらず弁護人(森江春策)は「無罪」を主張するという、これまた異例のストーリーが展開されます。

今回も被告人を裁くのは3名の職業裁判官と6名の一般裁判員。

菊園検事は証人として、事件当日に被害者の自宅を訪れた5名のうち被告人を除いた4名、そしてさらに事件当日に被害者と電話で話をした不動産会社の営業マンや事件当日に現場付近を巡回していた警察官などを召喚します。

呼出状に従いこの場に足を運んだ「あなた」は、彼らのやり取りや証言をどのように受け止めるのか。



いや~、見事にやられました。

正直なところ「審理」「評議」は、それなりに面白くはあるものの今一つ物足りなさも感じていたのですが・・・そう来ましたか

非常にあざとくはありますが、決してアンフェアではない。

この辺りの匙加減というか「物語の”見せ方”」はさすがとしか言いようがありません。

もちろん単体で読んでもよく練られた作品ではありますが、やはりこの中編集の最終話に配置される事で最大限の輝きを放つ作品だと言えるでしょう。

ミステリを読む幸せを味あわせて頂きました。


別の記事でも少し触れましたが、個人的には――例えば現在「ミステリーズ!」に連載中の「綺想宮殺人事件」のような――あまりにペダンティックな作品は残念ながら少し苦手です。

私がヴァン・ダインの諸作を世間の評価ほどには楽しめなかったのもそれが原因かも知れません(いずれ好みは変わるかもしれませんが)。

ただ、なんだかんだ言ってもやっぱり芦辺拓さんはいいミステリを書く作家さんなのだな、という事は今回の「裁判員法廷」や「森江春策の災難」で思い知らされましたので、まだ未読の作品群もきちんと読んで行こうという気持ちになりました。



最後に、この本の「あとがき」で触れられていた「本格ミステリにおける”現実への切り込み”」に関しては少し考えさせられる所もありました。

本格ミステリとは、社会派とは、などと言い始めればいくら書いても語りつくせませんが、ミステリ――中でもとりわけ「本格ミステリ」――に誇りを持ち、真摯な姿勢でそれに向き合う芦辺拓さんには非常に好感が持てました。

セカイ系、などと呼ばれる作品を批判するつもりはありませんし「メフィスト」などで私も普通に楽しみながら読んでいたりしますが、やはり私は「大人の上質な知的遊戯」としての端正な「本格ミステリ」が一番好きだな~、などと一人で勝手に納得してしまいました。







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2009/04/30 11:15|・芦辺拓TB:1CM:7

 

先ほど「探偵Xからの挑戦状!”第5回”」の「森江春策の災難 解決編」が放送されました。



ありゃ~、スーツ男は森江の偽物で、加江田真世は新島ともかで、本物の森江はスーツ男にロッカーに閉じ込められてて、そこまでは完璧だったのですが、被害者が「花村カオル」だと分かった時点で崩れ落ちました・・・残念!

そこさえ間違えなければウルトラ正解者だったのですが、中々うまくいきませんね~。

もちろん事務所で被害者を刺したスーツ男がコートで被害者の振りをしてまた戻ってくるというのは一度は考えましたが、それだったら戻って来ずにそのまま逃げるだろ、と思ってこの推理はあっさり捨ててしまっていました。


でもここ数回と違って再現ドラマがほぼ小説通りでしたし、大きな論理的破綻も無かったので(刺された時コート着てるじゃん、とか、あの花村カオルがかわいらしい名前にふさわしい優しい外見か?とか、新島ともかが「あっ!」と言った後のドッタンバッタンは何だったの?とか、ツッこめばいくつかはありますが)正解はしなかったもののとても楽しめました!


博覧強記の芦辺拓さんの作品はペダンティックすぎる所が少し苦手であまり読んでいなかったのですが、ちょっと見方が変わりました。

先日読んだ「裁判員法廷」も面白かったし!


ただ今回はシリーズキャラクターをよく知らない人には少し不利だったかも。

まぁ、不利じゃなかったのに外した私が言うセリフではありませんが(あはははは・・・)。



ただしここで一つ、NHKにクレームです。

芦辺拓さんに落ち度はありませんが、どうやら推理投票の締め切り前に「スーツ男が非常階段を駆け降りるシーン」が番組の宣伝としてTVで流れていた様子。

それを見た人が一気に真相に近づいたのは必至。

小説を読んで推理するゲームである以上、出来れば公平性を欠く行為はやめて頂きたいです。



とか言いながら来週の火曜日の夜はNHKにチャンネルを合わせているかもしれない、意志の弱い私・・・(ハッ、それが狙いか!?)。




次は井上夢人さんの「セブ島の青い海」ですね。

今回も楽しみです。

そして今度こそ完全解答を~(毎回言ってますが)。







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2009/04/30 01:44|Season 1TB:0CM:5

 

昨夜「探偵Xからの挑戦状!”第5回”」である「森江春策の災難」の推理投票を送りました。


このシリーズは第2回から「特定の事柄に触れている正解者」だけを「完全解答者」として集計し始めたため第2回から正解者が激減していますが、今回こそ犯人を当てるだけではなく何とかキーワードにも触れないと・・・。

ま、それ以前に犯人自体分からないのですが・・・。



まず何も考えずにストレートに問題編を読むと、

森江探偵の事務所に「森江春策」がいる。

そこに背中を刺されて瀕死のコート男が入ってきて、事務所にたどり着くとともに息絶える。

コート男の後を追いかけて探偵事務所に入った「花村カオル」はとっさに「加江田真世」を名乗った。

この場合コート男を刺した犯人、つまり今回の解答は「花村カオル」(?)。

ただし解答フォームには「加江田真世」の名前も。

しかも被害者や、ロッカーの中にいるらしき人物は一体誰?

・・・といった所でしょうか。



で、これを「犯人当て小説」らしく穿った読み方をすると何通りもの読み方が出来てしまうのですが、

まず菊園検事の「花村カオル・・・あんたがどうしてここに?」のセリフが、加江田真世(を名乗る女性)に向けての言葉だったのか、それとも森江の事務所にいたスーツの男に向けてのものだったのか、あるいはそれ以外の人物に向けてのものだったのか・・・。

それと加江田真世が事務所に入って「あっ!」と声を上げたあと、「ドッタンバッタンと何かが引っくり返るような音」が鳴り響いています。

ただ床に倒れたコート男を見て「あっ!」と言っただけであれば、その後の音の意味が分かりません。

というかこの数秒に何が起きたかを正確に推理できればすべて解ける気がするのですが・・・・分かりません(きっぱり)。


問題編の最後で「非常口」の事にも触れていますが、事務所にいたスーツの男が一旦非常口から外に出てコートを着てまた戻ってきた(犯行時間の錯誤のため)など、考え始めると推理が無限に広がってしまい、自分で収拾がつかなくなりました。

「花村カオル」も男か女かは当然分かりませんし、ただ菊園の留守電へのメッセージでは「かわいらしい名前と、それにふさわしい優しい外見」となっていますので、一番ふさわしいのは「加江田真世」を名乗っている女性のような気もするのですが・・・。

「花村カオル=被害者」とか「花村カオル=近国」とかいろいろ考えましたが、どうもしっくりこない。



結局最終的には、本物の森江はロッカーに閉じ込められていて、事務所にいるスーツの男が花村(優しい外見かどうかはかなり疑問ですが)、加江田真世を名乗ったのは助手の新島ともか、と考えて、被害者を刺した犯人は「花村カオル」で投票を送信しました。

ただこの場合、被害者は一体だれなのでしょう?(そしてなぜ刺されたあと事務所に来たのか・・・花村を追いかけて!?)

これ以外の真相の可能性が論理的に消せた訳でもないし。



う~ん、今回もダメかな・・・。







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2009/04/29 11:06|Season 1TB:0CM:3

 

本日「探偵Xからの挑戦状!”第5回”」の「森江春策の災難 問題編」が第6章まで全てサイトにアップされました。



今回は非常に面白い!


ただ今回も分からない・・・。


ちょうど先日、今回の出題者である芦辺拓さんの「裁判員法廷」を読んで、いまちょうど記事を書いている最中ですが・・・残念ながら推理の参考になりそうにはありません。



まず森江の事務所にいる30歳代のスーツ姿の男は何者なのか?

森江春策なのか、花村カオルなのか、それともそれ以外の誰かなのか・・・。


そして「加江田真世」(替玉よ!?)を名乗った20歳そこそこの女性は誰なのか?

とっさに偽名を名乗った新島ともかなのか、これが花村カオルなのか、それとも名乗っている通りの只の依頼者なのか・・・。


そしてロッカーの中に閉じ込められているらしき人物の正体は?

最後に菊園検事とともにロッカーに手を伸ばした人物は誰なのか?

そしてそもそも被害者は誰なのか?



菊園検事が発したセリフ「花村カオル・・・あんたがどうしてここに?」は一体誰に向かってのものだったのか?

近国が見たコート姿の人物は本当に被害者だったのか?

近国勤(近くに勤めている?)の会社名が、トリック映画の始祖(?)である「メリエス」を名乗っているのも何かを暗示しているようで気になります。



あ~、分からない事だらけ!!


けど今回は外しても、納得のいく解決編を見せてくれる気がします。


いや、でも当てたい







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2009/04/28 22:33|Season 1TB:0CM:2

 

黒田研二さん脚本(前川かずおさん画)の「逆転検事 第2話”逆転のラストナンバー(前編)”」を読みました。

本編とは関係ありませんが、御剣の執務室らしき扉絵にさりげなく「トノサマン」のフィギュアが飾ってあるあたりがシリーズのファンにはたまりません。



イトノコ刑事に無理やり誘われて、人気バンド「バード・ウイング」の解散ライブを観にライブハウスに足を運んだ天才検事「御剣怜侍」。

バード・ウイングは、ボーカルの「ハヤト」、ベースの「ヒナ」、ドラムの「タカ」、ギターの「ブンタ」の4人で構成されています。

名曲「ひよこのバラード」で幕を閉じた解散ライブ。

満員の観客のアンコールに応えて再びステージに立つヒナ・タカ・ブンタの3人。

ボーカルのハヤトは予定通り奈落からド派手に登場する・・・はずが、ステージの中央にせり上がってきた奈落には、うつぶせで頭から大量の血を流したハヤトの死体が!

どうやら現場は地下、凶器はタカがいつも持ち歩いているボウリングの球(マイボール)のようです。

タカが言うには、このマイボールは昨日から行方不明だったとの事。

犯行時刻はラストナンバーが終了してからアンコールが始まるまでのわずか10分間。



犯人は残りのメンバー3人の中の誰かだと思うのですが、今回の「前編」だけではまだ情報が少なすぎて推理が出来ません(ギターの突然のアドリブが怪しい・・)。

「中編」で情報が出揃うと思いますので、頑張って真相を見破ってやる!



というか今日「中編」が掲載されたヤンマガの発売日でしたので、実は今から読むのですが



このシリーズは黒田研二さんが脚本だけあって、下手なミステリよりもよっぽど描写がフェアですので推理のしがいがあります。

まさに”本格”。







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2009/04/27 23:59|逆転裁判&逆転検事TB:0CM:0

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