~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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踊るジョーカー ―名探偵 音野順の事件簿踊るジョーカー 名探偵 音野順の事件簿
(2008/11)
北山 猛邦

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推理作家の白瀬は、とっても気弱な友人・音野順が秘める謎解きの才能を見込んで、仕事場の一角に探偵事務所を開いた。今日も白瀬は泣き言をいう音野をなだめつつ、お弁当のおにぎりを持った名探偵を事件現場へ連れてゆく。殺人現場に撒かれた大量のトランプと、凶器が貫くジョーカーが構成する驚愕の密室トリック(「踊るジョーカー」)、令嬢の婿取りゆきだるまコンテストで起きた、雪の豪邸の不可能殺人(「ゆきだるまが殺しにやってくる」)など五つの難事件を収録。

購入から少し間が空いてしまいましたが、北山猛邦さんの「踊るジョーカー」を読みました。

東京創元社のミステリ専門隔月刊誌「ミステリーズ!」に連載されていた作品がまとまった短編集です。

連載時に読んでいるため、この単行本を読むのが少し後回しになっていたのですが、いざ読んでみるとしっかり書き下ろし作品も収録されており、かなり得した気分になれました♪

先月発売された「ミステリーズ! Vol.32」にも「人形の村」という作品が掲載されているのですが、そこに登場していた「ゴロゴロ人形」の意味が、この書き下ろし作品を読んでやっと分かりました。


ちなみにサイン本ですので、恒例の画像掲載です。

北山猛邦サイン(踊るジョーカー)
(クリックで拡大します)

ペンギンがりりしいですね。


踊るジョーカー

記念すべき、シリーズ第1作目です。

語り手は、推理作家(♂)の「白瀬白夜(しらせびゃくや)」。

白瀬は、大学時代に知り合った友人「音野順(おとのじゅん)」の卓越した推理力を見抜き、彼をモデルにした小説を書く事で作家になる事ができました。

しかし困ったことに、音野は、ひきこもりで、二ートで、おまけにいつも寝癖が直らない・・(これは関係ないか)。

という事で白瀬は、この放っておくと暗いところへ暗いところへ逃げて行ってしまう名探偵に何とかささやかでも日の光を当てられないかと考え、結局、むりやり探偵事務所を開く事にします。

白瀬が仕事場として借りているマンションの一室に、新しく購入した立派な事務机を設置し(予算不足で椅子はパイプ椅子ですが・・)、いよいよ「音野探偵事務所」のスタートです!


最初の依頼人は、南斉貴一。

彼の父親は、ある理由から地下室を寝室にしていました。

ある日、その地下室から悲鳴が聞こえ、貴一とその婚約者である藍子、そして屋敷の管理人兼運転手の根津の3名は、急いで地下室に向かいます。

地下への階段の扉の鍵を開け、さらに地下室の扉を解錠して中に入ってみると、そこには床一面に散らばった無数のトランプが。

さらに、床にうずくまっていた父親の腹部には、これまた大量のトランプを貫いた状態の大振りなナイフが刺さっていたのです!

「ト・・・トランプが・・・」という言葉を言い残して息絶える父親。

二重の密室と、謎のトランプ。

非常に魅力的な謎です!


・・が、

状況からして密室の謎はある程度予想ができました。

問題は凶器のナイフなのですが・・

北山先生、これはあまりにも無理があるのでは・・。

理論上は可能かもしれませんが。


名探偵音野の天敵とも言える「岩飛警部」や、音野のファンだという若手の「笛有刑事」も登場し、この白瀬・音野・岩飛警部・笛有刑事の掛け合いが何ともほのぼのしていて、読んでいてなぜか癒されます。


「時間泥棒」

今回の依頼人は上野カイと、彼の姉の婚約者である長崎清史。

まだ応接セットが無いため、音野の立派なデスクを前にして床の座布団に座る依頼者の姿は中々シュールです。

カイは大きな屋敷に、姉である上野アサヒと2人で暮らしているのですが、その屋敷から次々と「時計」が消えていきます!

屋敷には両親の遺産である美術品などもたくさん保管されているのですが、なぜか盗まれていくのはたいして高価でもない生活用の時計ばかり。

音野は、昼食用のおにぎりをたくさん持って(!?)、その屋敷へ調査に向かいます。


次々と消えていく時計。

犯人は、彼らの「時間」を盗もうとしたのでしょうか?

今回も中々魅力的な謎です。


そして音野が解き明かした、時計が消えていく意外な理由。

犯人の行動はしっかり筋が通っていて、納得です。


犯人の誘いに心が揺れる白瀬が、何とも憎めません。

アサヒに気に入られたウブな音野が、これまたほんわかして癒されます。


「見えないダイイング・メッセージ」

自宅で何者かに突然殴られ、死の間際、薄れゆく意識の中でポラロイドカメラを使ってメッセージを残した笹川明夫。

今回の依頼人はその息子の笹川晃です。

殺害された明夫が死の間際に残した写真は、金庫のキーナンバーを伝えようとしたのではないか、との事ですが、残されていたポラロイド写真に写っていたのは、時計やラック、観葉植物などの何の変哲もない部屋の風景。


今回は音野の兄が登場し、白瀬や音野が頭を抱えていたダイイングメッセージをあっさりと解き明かします。

「ひきこもり探偵音野」の兄は、世界的に有名な指揮者であるばかりでなく、弟にも負けない名探偵だったのです!


しかし、このダイイングメッセージは苦しい・・。

解読する方もする方ですが、被害者が死の間際にとっさにこんな事を思いつくでしょうか・・。

明夫を殺害した犯人にしても、動機の意外性は良かったのですが、実際こんなおおざっぱな犯行が思惑通りいくとはとても思えません。


「毒入りバレンタイン・チョコ」

ある大学の研究室で、ゼミに参加していた女子学生がチョコレートを食べた直後に青酸化合物による中毒で倒れる、という事件が発生します。

運よく一命は取り留めますが、このチョコレートはこの女子学生が友達と2人で作ったもので、しかも箱の中に30個ほど並べられたチョコレートのうち、毒物が混入していたのは女子学生が口にした1つのみ。

当時現場には担当教授1名と被害者を含む学生4名がいましたが、これは無差別なのか、それともこの女子学生を狙ったのであれば、一体どうやってそのチョコを選ばせたのか!?

現場にいた学生の一人から依頼を受け、音野は(白瀬に言われてしぶしぶ)調査に向かいます。


今回も、意外な動機、という点では楽しめました。

・・が、このトリックも物理的には可能ですが、現実的にはちょっと難しいでしょう・・。


今回は岩飛警部の上司で、どうやらミステリマニアらしき高庭警視が登場します。

事件後、高庭警視が音野たちに送ったプレゼントが笑えました。


「ゆきだるまが殺しにやってくる」

雪の降る中、あるちょっとした事件を解決していつものように車で家に帰っていた白瀬と音野ですが、運転していた白瀬がなぜか思いっきり道に迷います。

山道に迷い込み辿り着いたのは、辺り一面にゆきだるまが立ち並ぶ丘と、その向こうにぽつんと建つ一軒の豪邸。

やむを得ず泊めてもらう事になるのですが、この屋敷では、二十歳になるお嬢様の結婚相手を決めるコンテストが行われている最中でした。

なぜか成り行きで参加することになった音野。

「一番優れたゆきだるまを作った者が娘と結婚できる」という条件に驚く中、なんと殺人事件が発生します。


・・北山先生、いくらなんでもこのトリックも無理がありませんか・・?


住み込みのお手伝いさんのキャラが良かったです。

あと、冒頭で白瀬と音野がやっていた奇妙なしりとりも。


名探偵の存在意義に悩む音野と白瀬のやり取りは、いつになくシリアスでした。


という事で、このシリーズに出てくるトリックは正直なところ無理が多いです。

思いついた小ネタを元に、むりやりストーリーを作っているような・・。

ただ、音野のゆる~いキャラは読んでいて癒されますし、それ以外の登場人物もそれぞれ個性があって非常に楽しめます。

またもう一つの楽しみとして、音野探偵事務所には毎回必ず何かが増えていきます。

「踊るジョーカー」では、立派なデスク。

「時間泥棒」では、豪華すぎるイタリア製のスタンドライト。

「見えないダイイング・メッセージ」では、ファックス電話。

「毒入りバレンタイン・チョコ」では、ふかふかの絨毯。

「ゆきだるまが殺しにやってくる」では、ペロナンチャ族のゴロゴロ人形。

次は何が増えるか楽しみです。


「意外で、なおかつ納得できる解決」とは中々いかない事が多いですが、作品全体の雰囲気はすごく好きなシリーズですので、連載している「ミステリーズ!」でも毎回楽しみにしています。

今度は何が増えるかな~♪







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2009/01/22 15:02|・北山猛邦TB:0CM:2

コメント
おお! 物理トリックの鬼の先生じゃないですか!!
私は北山先生はまだデビュー作の「クロック城」しか読んでいませんが、トリックは少々アレながら、なかなか良い雰囲気を作られる作家さんだと思います。
短編集もあったんですね~。
近々読んでみようと思います~^^
FLIP #X6AIgIjQ|2009/01/23(金) 18:18 [ 編集 ]

そんな異名があったとは。
前から読みたい作家さんだったのですが、私はまだ「音野順シリーズ」しか読めてないです・・。

まだ作品もそんなに多くないので、夏までには全作読破!・・いや、やっぱり年内には!にしようかな。

他にも読みたい作家さんがいっぱいいて・・、あぁ~もっと時間が欲しい。
音倉誓示 #-|2009/01/24(土) 00:45 [ 編集 ]

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