~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
(2008/11)
米澤 穂信

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これぞ、究極のどんでん返し! あらゆる予想は、最後の最後で覆される。ミステリの醍醐味と言えば、終盤のどんでん返し。中でも、「最後の一撃(フィニッシング・ストローク)」と呼ばれる、ラストで鮮やかに真相を引っ繰り返す技は、短編の華であり至難の業でもある。本書は、その更に上をいく、「ラスト一行の衝撃」に徹底的に拘った連作集。古今東西、短編集は数あれど、収録作すべてがラスト一行で落ちるミステリは本書だけ!

米澤穂信さんの最新連作短編集「儚い羊たちの祝宴」です。

オビには「あらゆる予想は、最後の最後で覆される-。ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ。」と書かれていますが、はたして・・。


「身内に不幸がありまして」

舞台は、上紅丹地方に大きな勢力を持つ「丹山家」。

物語は、この家のお嬢様「丹山吹子」に仕える使用人「村里夕日」の手記、という形で進んで行きます。

親に隠れて、小酒井不木・海野十三・夢野久作・江戸川乱歩などの本を読み漁っているお嬢様。

お嬢様は高校卒業後、大学へ進学することとなり、上紅丹の地を出て行きます。

大学では「バベルの会」という読書倶楽部に入り、夏休み、「バベルの会」恒例となっている、蓼沼という別荘地での読書会まであと2日となった7月30日・・

勘当になっていた出来の悪いお兄様が、ライフルを持って突如丹山家のお屋敷を襲います。

使用人の夕日と帰省中だったお嬢様は力を合わせてお兄様を撃退し、その手首を切り落とします。

逃走したお兄様は死んだ事にされ、すぐに葬儀が行われたのですが、その後毎年7月30日になると、丹山家の人間が一人ずつ・・手首の無くなった状態で殺されていきます。

真犯人は・・。

そしてその動機は・・。

終盤真犯人は明かされるのですが、ラスト1行で、その驚きの動機が明らかにっ!


「衝撃」というよりは「なるほど」という印象でした。


「北の館の罪人」

舞台は、千人原地方に大きな勢力を持つ「六綱家」。

物語は、現当主の父親の隠し子(つまり現当主の腹違いの妹)である私「内名あまり」の視点で進んで行きます。

母の死の間際の言葉を頼りに、六綱家を訪れた私。

現当主の光次様は、私に手切れ金を渡して追い払おうとします。

しかし、光次様は「ここで暮らしたい」という私の申し出を受け、私は「北の館」と呼ばれる別館で暮らす事になります。

この「北の館」には早太郎様という、光次様の兄が軟禁されていました。

早太郎様の身の回りの世話をすることになった私。

(ちなみに、光次様の妹の詠子様は大学で「バベルの会」という読書会に入っているようです。)

そのうち、酢・画鋲・糸鋸・乳鉢などを始め、果ては牛の血やラピスラズリなど、次々と不思議な買い物を早太郎様から頼まれるようになります。

体調を崩し、少しずつ痩せ細っていく早太郎様。

ついに世を去ってしまう早太郎様ですが、いくつかの遺品を遺していきました。


ラスト1行は確かに衝撃的な内容ではあるのですが、それまでの流れからすれば普通に予想通りのラストでした・・。


「山荘秘聞」

舞台は、東京の目黒に本邸を構える貿易商「辰野様」の別荘で、八垣内という土地に建つ「飛鶏館」。

物語は、この別荘の管理人として雇われた私「屋島守子」の視点で進んでいきます。

この素晴らしい別荘に惚れ込み、いつお客様が来られてもいいように完璧に管理をしている私ですが、主人である辰野様は中々別荘を訪れてくれません。

(ちなみに、私が以前仕えていた「前降家」のお嬢様は「バベルの会」に入っていたようです。)

そんな冬のある日、私は雪山で遭難した登山者を発見し、飛鶏館で介抱します。

翌朝、捜索をしていた登山仲間たちが飛鶏館を訪れますが、なぜか私は自分が介抱した遭難者の事を彼らに隠しています。

捜索隊を飛鶏館に泊める事になり、近くの別荘からゆき子さんというお手伝いを呼びますが、ゆき子さんは私が何かを隠している事に気付いてしまいます。

私を問い詰めるゆき子さん。

以前仕えていた前降家では「特別な渉外」も任されていた私は、ゆき子さんの口も封じようとしますが・・。


このラスト1行は、今回の収録作の中では個人的に一番のお気に入りです♪


「玉野五十鈴の誉れ」

舞台は、駿河灘に面した高大寺という土地で勢力を持つ「小栗家」。

物語は、この家の一人娘「小栗純香」の視点で進んでいきます。

小栗家では純香の祖母が絶対的な力を持っており、誰もこの祖母に逆らえません。

下り坂になった小栗家を何とか復興させようとしている祖母ですが、後継ぎとなる男の子がいないため、純香を徹底的に管理・教育します。

そして純香の15歳の誕生日。

祖母は「あなたもそろそろ人を使うことを覚えたほうがいいでしょう」と、純香に「玉野五十鈴」という使用人を与えます。

次第に仲良くなる2人。

純香は祖母を説得して大学に進み、そこで「バベルの会」という読書倶楽部に入ります。

しかし、大学に入学してまだ2ヶ月も経っていない5月末。

ある事件により、純香は強制的に高大寺に呼び戻されます。

祖母からの待遇も変わり、五十鈴の態度も変わり、さらには小栗家に待望の男の子が誕生します。


ラスト1行は、「ゾクッ」と来ました。まさかあれが伏線になっていようとは・・。


「儚い羊たちの祝宴」

舞台は、昔「バベルの会」のメンバーが集まって読書をしていたサンルーム。

物語は、その朽ち果てたサンルームの円卓に置かれている一冊の日記をある女学生が読む、という形で進んで行きます。

日記を書いたのは「大寺鞠絵」。

ある理由から「バベルの会」を除名された学生のようです。

成金のパパが、最高の料理人である「厨娘」を雇った、という話が日記に書かれています。

宴の料理を作るのが専門のこの料理人は、最高の料理を作るために特別な料理法をとります。

次々と珍しい食材を調理する厨娘に対し、鞠絵が希望した食材は「アミルスタン羊」。

どうやら良質なアミルスタン羊が、毎年夏の盛りになると蓼沼という別荘地に集まるようですが・・。


ラスト1行は、特に「衝撃」ではないのですが。


こんな大げさなアオリ文句が無ければ、普通に面白い連作集でした。

「小市民シリーズ」などとは違ったダークな一面も楽しめました。

が、あまりにも「看板に偽りあり」です。

ラスト1行で「納得」と言うか「オチ」と言うか、とにかく特に「衝撃」では無いものがほとんどです。

ちょっと、読む前の期待度が高すぎました。


どうせなら新潮社さんも、昨年講談社の「YA!」レーベルから新たに発売になった綾辻行人さんの「十角館の殺人」のように、せめて「衝撃の1行」がページをめくった所に姿を見せるように配置する、ぐらいの事はやって欲しかったです。



さて米澤穂信さんは、2月に「秋期限定栗きんとん事件(上)」(仮)が、続く3月にはその下巻がそれぞれ創元推理文庫から発売になる予定です。

この機会に「春期限定~」から全巻そろえようかな。







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2009/01/15 23:54|・米澤穂信TB:0CM:0

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