~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

プロフィール 

音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

FC2カウンター 

最新記事 

カテゴリ 

月別アーカイブ 

RSSリンクの表示 

メールはこちらから 

名前:
メール:
件名:
本文:

ホーム 全記事一覧 << 前の記事 次の記事 >>

 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/-- --:--|スポンサー広告

 

女王国の城 (創元クライム・クラブ)女王国の城 (創元クライム・クラブ)
(2007/09)
有栖川 有栖

商品詳細を見る
舞台は、急成長の途上にある宗教団体“人類協会”の聖地、神倉。大学に顔を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、四人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。“城”と呼ばれる総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し…。江神シリーズ待望の書き下ろし第4長編。

ついにと言うかようやくと言うか、有栖川有栖さんの「女王国の城」を読みました。

本格ミステリブログを立ち上げている人間が「女王国の城」もまだ読んでなかったのか、と叱られそうですが、読んでしまうのが勿体なくて、購入したままずっと大切に寝かせてあったのです。

この気持ち、分かってください(誰に言い訳してるんだろう?)


仕事柄大晦日も正月も働き詰めのため、毎年の事ですが、帰省する妻と子供たちに置いて行かれ、一時的な単身赴任状態のまま今年も一人で年を越しました。

そこでささやかな楽しみ。

今年は「女王国の城」を、文字通り読みながら年を越しました。

ちょうど第3章を読んでいる辺りで新年を(そして有栖川有栖さんの記念すべきデビュー20周年の年を)迎え、ミステリファン、そして有栖川有栖ファンとしてはこれ以上無い幸せな年越しでした。

さて、長い間寝かせてあったこの本が、熟成されてさらに面白味が増したかどうかは分かりませんが、以下、あらすじと感想です。


冒頭、初心者ドライバーであるアリスの運転するレンタカーで、木曾山中の「神倉」という土地を目指す「英都大学推理小説研究会(EMC)」の4人。

「ちょっと遠出するかもしれん」という言葉を残して行方をくらませた江神二郎部長を心配した4人は、下宿に残された痕跡を元に、部長は「神倉」へ向かったのではないかと推理し、後を追いかける事にします。

「神倉」-そこは「人類協会」という宗教団体の本部があり、住民の9割が「会員(信者)」という、特殊な街。

紆余曲折を経て何とか江神部長との再会を果たしたEMCの面々ですが、運悪く人類教会の本部である「城」の中で殺人事件に遭遇してしまい、警察への通報を頑なに拒否する人類協会の会員たちによって、「城」に軟禁されてしまします。

何とか脱出しようと奮闘するアリスたちですが、その間にも第2、第3の事件が・・。




という事で、毎回クローズドサークルの「江神二郎シリーズ」ですが、今回は宗教団体の本部である「城」、そしてそれをとりまく「神倉」という土地に閉じ込められてしまいます。

内容に関しては、いつもの有栖川作品と同じように、いやそれ以上に数々の伏線が張り巡らされ、それが論理的にある1点に向かって収束する、これ以上ない最高の作品でした。


ストーリーに関してあまり突っ込んだ感想を書くとネタバレにも繋がりかねませんので、今回は一つ、作中の事件とあまり絡まない所で感想をつらつらと・・。


まずは序盤、ほんのわずかに触れられる「桜川の変死体」。

そう言えばそうでした。

私が「神倉」という土地に聞き覚えがある気がしたのは単なるデジャ・ヴでは無かったのですね。

以前「ミステリーズ!」(東京創元社)で数名の作家さんが競作した「川に死体のある風景」。

その1篇が、有栖川有栖の「桜川のオフィーリア」(←主人公は江神二郎)でした。

私の記憶力もまだまだ捨てたものじゃないな・・。


今回なぜか四字熟語を会話に入れるのが小さなブームになっているらしいマリアたち。

緊迫した場面でもついつい笑ってしまいそうな会話がいくつもちりばめられていました。

それと同じく、エラリィ・クイーンフリークの望月先輩はやはり会話にクイーンが何度も登場するのですが、マリアがそれとなく「思考機械ヴァン・ドゥーゼン教授」の名前を出した場面にも思わずニヤリ。

彼女達の置かれた状況から「13号独房の問題」をすぐに連想した私は、やはり立派なミステリマニアでしょうか?

あぁ、また「思考機械の事件簿」が読みたくなってきた・・。


終盤、UFOオタクの荒木とともに「陰謀」について議論する場面がありますが、そこでの江神部長の「幼稚で誇大な妄想と”戯れてみせる”のが本格ミステリだ」というくだりは非常に感銘を受けました。


そして今回も不敵に読者の前に立ちはだかる「読者への挑戦」。

いつもとは少し雰囲気の違う「読者への挑戦」に、まさしく全身の血が泡立つ思いでした。

そこに並んだ言葉の美しさ。

そして「本格ミステリ」を心から愛し、それを貫き通す「有栖川有栖」という人物の、あまりに大きなその存在。

気障な文章が気障に見えない、その自信あふれる「読者への挑戦」に、心をわしづかみにされました。

本格ミステリとは”最善を尽くした探偵”の記録だ。」

座右の銘にさせていただきます。


さて、アリスの「性寂論」とでも言うべき「寂しさ」についての独白も、切なく、とても興味深かったですが、やはり気になるのはアリスとマリアの関係。

マリアが、久々の再会で「アリス、握手。私と握手して」と言っていたシーンで悶え、終盤の「俺に命を預けてくれるか?」ではちょっと笑ってしまいました。

それにしても、ラストの「ううん、全部」は・・。

おぉ~、次回作が気になります!

それと今回は織田先輩がカッコ良かった!!

次回作でも皆に見せ場があるといいな♪



あとがきでも触れていましたが、この「江神二郎シリーズ」は、番外編とでも言うべき短編たちを別にすれば、以前から「長編5作で完結予定」と著者は語っています。

その通りであれば、いよいよ次回が完結編。

江神二郎は、母親の預言(呪い?)にどう立ち向かうのか。



本格ミステリとはどうある「べき」か?

本格ミステリはどこに向かう「べき」か?

そんな議論とは少し距離を置いているように見える著者。

ただひたすたらに本格を愛し、貫き、迷わず書き続ける有栖川有栖なら、きっとまた「江神二郎」の素晴らしい物語を創造してくれることでしょう。


その日を楽しみに、いつまでも待ちます。







皆様の応援がブログ更新の励みになります(^^)
よろしければ、お帰り前に応援クリックして頂けるとめっちゃ嬉しいです!!
 ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓ 
  にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

ホームへ


2009/01/05 01:27|・有栖川有栖TB:0CM:2

コメント
私はまだ…
あけましておめでとうございます。
『初心者のための読書ガイド』のコンサでございます。
恥ずかしながら、私『女王国の城』未読です。読みたいなぁと思いながらも、久しぶりの江神シリーズをもう少し取っておきたい気持ちもありました。
でもレビュー見て読みたくなりましたよ♪今月中に読もうかなぁ
コンサ #-|2009/01/05(月) 21:28 [ 編集 ]

明けましておめでとうございます。
宝物のような本でしたので、もったいなくてついつい読むのが遅くなってしまいました。
コンサさんは12月もハイペースで色々読まれてましたね(^^)
うらやましい・・。
北海道で蓄えてきた(?)パワーで、今年も仕事に読書に頑張ってください。
いつも楽しみにブログ読ませて頂いてますよ(^^)
音倉誓示 #-|2009/01/06(火) 22:31 [ 編集 ]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバックURLはこちら
http://honkakusuiri.blog36.fc2.com/tb.php/83-f2ecba7f

ホーム 全記事一覧 << 前の記事 次の記事 >>

ブログ内検索 

リンク 

このブログをリンクに追加する

読書ログ 

音倉誓示のつぶやき 

    follow me on Twitter

    最新コメント 

    最新トラックバック 

    Copyright(C) 2006 謎と論理と遊び心 All Rights Reserved.
    Powered by FC2ブログ. template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。