~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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七つの死者の囁き (新潮文庫)七つの死者の囁き (新潮文庫)
(2008/11/27)
有栖川有栖 石田衣良

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死者はそこにいる。生きている私たちの記憶の中に、夢の中に、そしてすぐ背後に。私たちを見つめ、語りかけ、時に狙っている。ひそやかで絶え間ない、死者たちの攻勢―。少女の幽霊は窓辺に立ち、死んだ恋人からのメールが届く。自殺した女の呪詛が響き、亡くなった男は秘密を打ち明け、死霊の化身が地底から出現する。怖恐と憂愁を纏った七つの死者たちの物語。文庫オリジナル。

新潮文庫11月の新刊。

有栖川有栖道尾秀介作品収録のオリジナルアンソロジー、とくれば買わない訳にはいきません。

ただし「本格ミステリ」のアンソロジーではないので、ミステリ的な視点で読まないようにするのに苦労しました。

という事で、以下各作品の感想です。


「幻の娘」/有栖川有栖

あの名作「幽霊刑事」で、殺された神崎刑事の幽霊とともに活躍した、霊媒体質の刑事「早川篤」が主人公です。

ある事件の容疑者がアリバイを主張しますが、それを証明してくれるという少女は実は10年前に死んでいて・・・。


ミステリとしてのトリックは非常にスタンダードで、真犯人を自供に追い込むまでの描写もわずか1ページほどに省略されています。

ですが当然この作品の読みどころはそういう部分ではありません。

幽霊が「見えてしまう」早川刑事が、自分には何が出来るのか、そして何をするべきなのかを悩み成長していく過程を頼もしく思い、そして少女の幽霊が姿を現す条件に思い当ったところで胸が熱くなりました。

有栖川有栖作品の中では「江神二郎」や「火村英生」ほど有名ではありませんが、個人的にはこの「早川刑事」が活躍する長編をまた読みたいです。

幽霊刑事」を未読の方は、この「純愛小説」と言ってもいいほどの感動作はぜひとも読んでみて下さい。

私は最後の数ページで涙が込み上げ、物語が幕を閉じたあとの10ページでさらにえらいことになりました



「流れ星のつくり方」/道尾秀介

真備庄介シリーズの1篇。

今回の主人公は真備でも道尾でもなく、助手の「北見凜」です。

旅先の旅館から夜の散歩に出かけた凜は、ふとしたきっかけである少年と出会います。

病弱そうな印象のその少年は、凜にある「問題」を出しますが・・。


凜から電話で話を聞いただけで真相を見破った真備の洞察力はさすがです。


その残酷な真相。

そして凜が作った流れ星に願いをかける少年。

ラジオを聴くのが好きなこの少年が、最後に明かすもう一つの真実。

その告白はあまりにも悲しすぎます。



「話し石」/石田衣良

「S氏は話し石の採集家だった。」の一文で始まる、わずか7ページの掌編。

冒頭に「星新一に捧げる」とある通り、まさに星新一さんのショートショート集を読んでいる気分になりました。

中学生の頃ショートショートを読み漁っていたのを思い出し、懐かしかったです。

石田衣良さんは、こういう作品も書けるんですね。



「熱帯夜」/鈴木光司

大学時代に、独特の雰囲気を纏った(というかちょっとイッてしまっている)女性と付き合い、ちょっとしたイタズラから、その後の人生を台無しにされてしまった男の話。

27年後、集中治療室で甘美な死の誘いを受け入れようとしている主人公の元に現れたのは・・・。



「嘘をついた」/吉来駿作

自殺した彼女の霊を、女友達と一緒に探す主人公。

次第に明らかになっていく、彼女の死の意外な真相と異常な動機。

何かをを守るためにいくつもの嘘をついてしまう主人公ですが、娘さんを亡くした「オッサン」に対して最後にかけた言葉は、優しさにあふれていました。



「最後から二番目の恋」/小路幸也

死の間際に「バク」と名乗る生き物が現れ、「あなたの思い出をくれれば、代わりにもう一つの人生をプレゼントします」と告げられます。

バクがプレゼントしてくれる「もう一つの人生」とは、「破れた恋の内の一つを選び、その恋が確実に実る人生」。


「最後から二番目の恋が実る人生」を選んだこの物語の主人公は女性なのですが、冒頭の「バク」との会話が性別不詳で描かれているため私は男性と思いこんでしまい、読んでいて途中まですごく違和感がありました。

特に意図があっての事では無いようですので、作者のミス?

終盤、「最後から二番目の恋」の意外な姿に驚かされ、また更にその外側にもう一つの切ない物語が。

これはぜひご自分の目で確かめてみて下さい。



「夕闇地蔵」/恒川光太郎

人の姿が「色」としてしか見えない「地蔵助」という捨て子が主人公です。

地蔵助は、友達の冬次郎がある廃屋で次々と女性を殺めている事を知ります。

止めなければ、と思う地蔵助ですが、冬次郎が女性と交わりそして殺めていく姿を何度も覗き見しているうちに、この覗き見自体に邪で淫らな興奮を覚えていってしまいます。

しかし、捜査の手が伸びてきた事に気付いた冬次郎は、昔地蔵助が捨てられていたという村はずれの冥穴堂に逃げて行き、そこで・・・。

不思議な物の怪も登場し、何とも言えない魅力を持った作品でした。




ミステリ以外の作品を読む機会はあまり多くはありませんが、こうして普段読まない作家さんたちの作品に触れるのも時々は楽しいものですね






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2008/12/18 23:07|・アンソロジーTB:0CM:4

コメント

先日はコメントありがとうございました。

どの本だったかは忘れましたが「流れ星のつくり方」だけ読んだ記憶があります。確か道尾さんを好きな後輩に勧められた記憶がありますが、作風が比較的好みだったので道尾の長編も読んでみたいなぁ、と思ったものです。

しかし、この作品を読んだ後、他にも読んだ友人後輩ら数人と推理の要となる物の位置について構造上不可能あるいは不自然なのではないかということで物議を醸し出したことを鮮明に覚えています。

ところで話は変わりますが、こちらのブログも私のブログのリンクに加えさせていただいてよろしいでしょうか。
G三世 #vtg4c5sk|2008/12/18(木) 23:40 [ 編集 ]

もちろん!
リンクの件、もちろんOKです。
こんなつたないブログでよろしければ(笑)

「推理の要となる物の位置」気になりますね~。全然気づきませんでした。
後で読み返してみます。

私は周りに意外とミステリ好きがいないので、G三世さんがうらやましい・・。
音倉誓示 #-|2008/12/19(金) 00:25 [ 編集 ]

はじめまして!
はじめまして。FLIPと申します。
丁寧な書評ですね~。
私も書評サイトを運営しておりまして、事後報告で恐縮なのですが、リンクを貼らせていただきました。
わたしも有栖川先生が大好きなのですが、当初、あまりのペースで読み尽くしてしまったために、今度はゆ~っくりと再読しながら書評を書くつもりです。
どうぞよろしくお願いします。今後の更新も楽しみにしております。
↓リンクを貼ったページ
http://writing.flip365.net/index.php?LINK#sffe1770
FLIP #X6AIgIjQ|2008/12/21(日) 11:12 [ 編集 ]

こちらこそはじめまして!
実はFLIPさんのブログは時々読ませて頂いてます。
鮎川哲也も北山猛邦も鯨統一郎も田中啓文も大好きなもので(^^;)
リンク集に加えて頂いて光栄です(相互リンクさせていただきます)。
お互いこれからも色々な作品を読んでいきましょう(^^)
音倉誓示 #-|2008/12/22(月) 00:12 [ 編集 ]

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