~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

プロフィール 

音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

FC2カウンター 

最新記事 

カテゴリ 

月別アーカイブ 

RSSリンクの表示 

メールはこちらから 

名前:
メール:
件名:
本文:

ホーム 全記事一覧 << 前の記事 次の記事 >>

 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/-- --:--|スポンサー広告

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫)
(2007/04)
乾 くるみ

商品詳細を見る
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

少し前に話題になった、乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」をようやく読みました。

最後のドンデン返しがすごくて絶対に2回読みたくなる、という謳い文句の割には「たいして面白くなかった」という感想も多いようで以前から気になっていたのですが、はたして・・。


で、まず1回読んだ時の私の感想は「え?それだけ?」でした。

確かに最後の2行でドンデン返しはありますが、途中である程度予想がついていましたので、特に大きな驚きも感動もありませんでした

ただし!!

その後、よく読み返してみて、自分が大きな間違いをしていることに気付きました。

これは凄い小説です!

ただ、ネタバレなしで語るのは無理ですので、今回は例外的にネタバレを書きまくります。

一度読んで「たいしたことなかった」と思った方は、ぜひ続きを読んでみてください。

ただし、未読の方は一度作品を読んでから、このブログの続きを読む事をオススメします

では、続きを読まれる方はこちらをどうぞ
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓


まず普通に読むと「side-A」と「side-B」は続いているように見えます。

そう、まるで「side-B」は「side-A」の1年後であるかのように。

ですが、読まれた方は分かるように、「side-A」と「side-B」の「たっくん」は別人です。

つまりそれがラスト2行のドンデン返しの内容なのですが、先ほども書いたように、これは途中で何となく予想がつきましたし、読み終わったときも「やっぱりね」と思っただけで、別にすごいとも何とも思いませんでした

「だから何?それだけ?」って感じで

私と同じように感じて、「たいして面白くなかった」という方も多いようです。


しかしこの作者のたくらみは、私の予想を大きく越えていました。

この2つの物語は、別人の物語でもなけれは時間がずれているわけでもなく、あくまで「同時進行」なのです。

いや、それもとっくに気付いてるよ、という方はすみません。

私は後から気付いて、読めば読むほど味の出るこの作品にすっかり魅了されました

以下、この作品内で起こった事、つまりは「side-A」のたっくんこと「夕樹」と、「side-B」のたっくんこと「辰也」の身に起こった事を、「時系列」で並べてみます(夕樹がマユと出会ったのを「今年」として書きます)。



昨年4月(?)、マユが歯科衛生士の専門学校に入学。

その後、合コンで辰也と出会い、付き合い始めます。

辰也は専門学校までよく車で迎えに行っていたようです。

ニュートンとアインシュタインの区別もつかないマユを辰也が馬鹿にしたため、マユは「アインシュタインの世界」という本を買います。

そして夏、辰也とマユは2人で海に行った帰りにホテルに行きますが、その日は上手くいかず・・のちに初体験をします。

そして今年の春。

マユが実家を出ると言い出し、辰也は部屋探しに何度も付き合わされます。

辰也は大学の追いコンのあと、マユをホテルに呼び出しますが、喧嘩になってマユを叩いてしまいます。

それぞれ卒業し、辰也は「慶徳ギフト静岡」に就職。マユは「秋山歯科」に就職。

5月に辰也は、静岡ターミナルホテルに早くもクリスマスイブの予約を入れます。

6月半ば、辰也はマユの誕生日プレゼントとして、社販で「ブーツ型ジョッキ」を買います。

6/19(金)、辰也は東京異動の内示を受け、翌日マユに詳しく話します。微妙な反応。

7/1(水)、辰也東京へ引っ越し。

7/2(木)、マユの誕生日。辰也は「ブーツ型ジョッキ」と「ルビーの指輪」をプレゼントします。

7/10(金)、マユは合コンで夕樹と出会います。指には辰也からもらったルビーの指輪が。この日、辰也は会社の歓送迎会に出席中。

7/13(月)、辰也は残業後、石丸さんと飲みに行きます。

7/17(金)、辰也は石丸さんや劇団の女の子たちと合コン。

7/18(土)、辰也とマユ、静岡でショッピング。マユは水着の試着をしますが、結局この日は買いません。

7/24(金)、辰也、突発性難聴で入院。

8/2(日)、夕樹とマユ、海で久しぶりに再会します。マユが着ているのは昨年辰也と海に行った時に着ていた水着です。夕樹の前で初めてタバコを吸ったのもこの時。この日辰也は、東京で劇団の公演を見に行っています。

8/9(日)、マユは辰也に生理が来ていないことを打ち明けます。この日の夜、夕樹からマユに初めての電話。

8/10(月)、辰也は石丸さんから告白を受けます。

8/14(金)、夕樹とマユの初デート。マユはタバコを勧められ「今はやめときます」(←妊娠しているかもしれないから)。また、コンタクトの話題の時に夕樹の事を間違えて「タックン」と呼びそうになり、あわててズボンの「タック」に話をそらします。

8/21(金)、夕樹とマユ、2回目のデート。マユは先週のような呼び間違いを防ぐため、夕樹のあだ名を無理やり「たっくん」にします。

8/23(日)、マユ、産婦人科に検査に行き、妊娠3ヶ月と判明。夕樹がマユに貸していたハードカバーの本たちが、辰也によって床に払い落とされる

8/26(水)、マユ、夕樹へ今週末のデートのキャンセルの電話。

8/29(土)、マユ、入院し堕胎手術。

9/4(金)、夕樹とマユ、3回目のデート。マユはタバコを吸い、先週のデートキャンセルは便秘で入院していたため、と説明。

9/15(火)、夕樹とマユ、合コンのメンバーでテニスへ。その日の夜、夕樹はマユの部屋へ行き、初体験。マユも初めてのHのふりをする。

9/23(水)、辰也、石丸さんとドライブに行き、ラブホテルへ。

10/10(土)、マユが初めて夕樹の部屋へ。2度目のセックス。

10/31(土)、辰也、マユを「美弥子」と呼んでしまい、1年半続いた恋愛が終わる。

11/4(水)、辰也の元に、マユからルビーの指輪が送り返されてくる。

11/6(金)、夕樹、自動車免許の最終試験に一発で合格。

11月半ば、辰也、静岡ターミナルホテルのクリスマスイブの予約をキャンセル。

11/14(土)、夕樹とマユ、初ドライブ。ラブホテルでクリスマスイブの話になり、帰宅後ターミナルホテルに電話すると、ちょうどキャンセルが出たばかりで運良く予約ができる。

12/5(土)、辰也、間違えてマユに電話。マユは(夕樹からの電話かと思い)普通に「たっくん?」と答える。マユを哀れに思う辰也が哀れ。

12/24(土)、夕樹とマユ、ターミナルホテルでディナー。ルビーの指輪はなくしたらしい。




以下は夕樹がマユと初体験した時の、マユのセリフです。

初めての相手がたっくんで、本当に良かったと思う」
「・・・2度目の相手もたっくん3度目の相手もたっくん、・・・」

確かに嘘はついてないですね

元々の彼氏も新しい彼氏も、どちらも「たっくん」ですから。


・・と言う事で、私の最終的な感想は「女は怖い」です



(追記)
この本に関しては、有名な解説サイトがあると教えて頂きました。
すみずみまで徹底的に解読してあって、すごい内容です。
興味を持たれた方は、ぜひそちらも読んでみてください
(アドレスはコメント欄にあります







皆様の応援がブログ更新の励みになります(^^)
よろしければ、お帰り前に応援クリックして頂けるとめっちゃ嬉しいです!!
 ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓ 
  にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

ホームへ


2008/11/25 23:20|・乾くるみTB:0CM:2

コメント
この小説に関しては
すでに有名な解説サイトがあるので、
http://gonza.seesaa.net/article/2124042.html
下手に後から解説を書くと、パクったと思われますよ。
riru #wLMIWoss|2008/11/26(水) 07:19 [ 編集 ]

riruさん
教えて頂いた「ゴンザの園」を見ました。
いや・・すごいですね。
素直に感動しました。
しかも書かれたの2005年だし。
私が触れなかった(そこまで調べなかった)「国鉄→JR」や「男女7人~」や「BOOWY」の事までしっかり書いてありますね・・。
ただ私の記事は、ミステリに興味のない妻(←あの「葉桜~」を「面白くない」と言い、私が買った本は東野圭吾ぐらいしか読まない)が、珍しくこの本は「面白い」と言ったので、じゃあ徹底的に調べよう、と2週間以上かけて少しずつ書いた記事です。
ま、でもあんなサイトがあるのではパクったと思われても仕方がないですね(^^;)
自分が逆の立場だったら同じように思うと思います。
本文にも追記して案内しておきます。
それにしても、静岡ローカルのネタや現実での天気まで調べてあって、本当にすごいですね・・。
長文すみませんm(_ _)m
気ままな読書人 #-|2008/11/27(木) 10:45 [ 編集 ]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバックURLはこちら
http://honkakusuiri.blog36.fc2.com/tb.php/59-76adb995

ホーム 全記事一覧 << 前の記事 次の記事 >>

ブログ内検索 

リンク 

このブログをリンクに追加する

読書ログ 

音倉誓示のつぶやき 

    follow me on Twitter

    最新コメント 

    最新トラックバック 

    Copyright(C) 2006 謎と論理と遊び心 All Rights Reserved.
    Powered by FC2ブログ. template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。