~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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ガリレオの苦悩ガリレオの苦悩
(2008/10/23)
東野 圭吾

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湯川の頭脳に挑戦してくる犯人たち。科学を殺人の道具に使う人間は許さない―絶対に。

東野圭吾のガリレオシリーズが長編・短編2作同時に刊行されましたが、まずは短編集「ガリレオの苦悩」を先に読んでみました

発売直後は、店の在庫を品切れさせたくなかったのですぐに買うのは我慢したのですが、そろそろ売れ行きも落ち着いてきましたので・・

これは喜んでいいことなのか・・?

「情念の長編」と銘打たれた「聖女の救済」と、同じく「論理の短編」と銘打たれた「ガリレオの苦悩」。

今回の短編集に収められた作品は5篇です。


「落下る(おちる)」
―アイデアがあるなら試せばいい。価値のない実験なんかない。

マンションから突然落下してきた女性。

自殺か?他殺か?

事件の前にこの女性の部屋を訪れていた男性に疑いがかかりますが、女性が落ちた時、この男性はそのマンションの下を歩いていた・・。


私はドラマ「ガリレオ」は観ていませんが、この短編に、いきなり女性刑事の「内海薫」が登場してきたのには驚きました。

最初は東野さんがドラマに影響されて新たなキャラを登場させたのかと思いましたが、この「落下る」は2006年の作品ですので、実際は小説が先だった、という事でしょうか。

色々と事情があって、警察には協力しなくなった湯川准教授。

理由はやはり石神の一件でしょう。

しかし、この女刑事の熱心さに、ガリレオの心も少しずつ動いていきます。

オカルトチックな、現実にはあり得ない現象を科学の力で解明していく、というのがこのガリレオシリーズの特徴ですが、今回はうまく外した、というかある意味意外な結末でした。

しかし、当初「佐野史郎」のイメージで描かれていたというガリレオ(湯川学)ですが、ドラマや映画を観ていない私が読んでも、湯川の一つ一つのしぐさが妙にキザに見え、明らかに「探偵ガリレオ」や「予知夢」の頃とキャラが違うように感じるのは気のせいでしょうか

内海薫も、どうやっても柴崎コウの顔しか浮かんできません

小説の中の湯川が変わったのか、それとも読む側の私の意識がメディアに引きずられてしまっただけなのか・・。



「操縦る(あやつる)」
―人の心も科学です。とてつもなく奥深い。

「メタルの魔術師」の異名をとっていた元助教授の自宅に、湯川ら昔の教え子数人が集まります。

しかしその時、自宅の離れが炎上し、そこで暮らしていた元助教授の息子が「刺殺体」として焼け跡から発見されます。

・・・使われたトリックは、ガリレオシリーズならではでした。

こんな特殊な装置は、普通分かりません

ただ今回注目すべきは犯人の動機。

そしてそれ以上に注目すべきは、少しずつ「人の心」が理解できるようになってきた湯川准教授、といったところでしょうか



密室る(とじる)」
―人間が生み出した謎を解くには、人間のことを知っておく必要がある。

湯川は、脱サラしてペンション経営をしている大学時代の友人の元を訪れます。

友人が言うには、数日前にこのペンションで起こった事件には「密室」が関わっているとの事なのですが・・。

う~ん、やはりトリックは特殊ですね

どこかのブログでネタバレしているのも見かけましたが
(もちろん、私が見たのは読んだあとです。)

ま、これもトリックうんぬんよりは、その陰にある人間ドラマに主眼を置くべきでしょう。



「指標す(しめす)」
―神秘的なものを否定するのが科学の目的じゃない。

今回は水晶を使った「ダウジング」が登場します。

強盗殺人が発生し、同時に、庭にいたはずの犬が姿を消します。

しかし、容疑者の娘が「ダウジング」を使ってその犬の居場所を発見

これは神秘の力か、何かのトリックか―。

そして真犯人は・・?

今回も「人の心」が分かるようになってきた湯川学でした



「攪乱す(みだす)」
―魔法なんてものは、この世に存在しない。

「悪魔の手」を名乗る人物から、警察と湯川に挑戦状が届きます。

そして、その挑戦状で「事故と見分けがつかない方法で無差別殺人を行う」と予告した犯人は、それを実行に移します。

必要以上に、湯川を敵対視する犯人。

湯川は、犯人に心当たりは無い、と言いますが・・。

またもや超理系的なトリック(装置)が登場しますが、それはさておき、犯人の歪んだ動機には同情の余地はありませんでした。

科学者同士の対決、といった構図でしたが、湯川の方が1枚上手でした



このシリーズの特徴ではありますが、普通の人には分からないトリック(装置)が多く使われているため、謎が解けた時の「うわっ!そうだったのか!」といった驚きは特にありませんでした

どちらかと言うと、「へ~、そんな機械があるんだ~」という感じで

まあ今までの「草薙刑事が困って湯川に相談して事件が解決する」というパターンからバリエーションが広がり、直情型の女刑事の登場や、湯川が裏方ではなく表舞台に立つようなストーリーが多かった所は楽しめたかな







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2008/11/11 23:28|・東野圭吾TB:1CM:3

コメント

おぉ!!これはぜひ読みたいですね~

なかなか読む時間が取れませんが
暇が出来たら買ってきて読みたいと思います。
チャイ #-|2008/11/12(水) 00:53 [ 編集 ]


いや~、正直なところ文庫になるまで待とうかなって思ったんですが、やっぱり我慢出来ませんでした(^^;)
私のブログを読んで「読みたい」と思って頂けたことが嬉しいです(^^)
気ままな読書人 #-|2008/11/12(水) 23:26 [ 編集 ]


こんばんは。
各話自体がよく練られていて、いつも通りの謎解きの爽快感が味わえました。
内海の登場で物語の幅が広がったとも思います。

トラックバックさせていただきました。
藍色 #-|2008/11/18(火) 04:48 [ 編集 ]

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ガリレオの苦悩 東野圭吾
ガリレオの苦悩(2008/10/23)東野 圭吾商品詳細を見る 装幀は石崎健太郎。装画は塩谷博明。別冊文藝春秋ほか初出と書き下ろし。 落下る―おちる:...
粋な提案 2008/11/18(火) 04:37

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