~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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カンニング少女 (文春文庫)カンニング少女 (文春文庫)
(2009/03/10)
黒田 研二

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都立K高校3年・天童玲美は、姉の死の真相を探るため、最難関私大・馳田学院入学を決意する。今の学力では合格が覚束ない玲美は、クラスで成績トップの優等生・愛香と陸上インターハイ選手の杜夫、機械オタクの隼人の協力を得て、カンニングによる入試突破を目指す。スリル満点の胸キュン青春コンゲーム小説。


黒田研二さんの「カンニング少女」(文春文庫)を読みました(これも確か4月頃・・・)。


主人公は高校3年生の「天童玲美」。

玲美の姉で大学1年生だった「天童芙美子」は交通事故で他界してしまったのですが、玲美はある理由からその事故に疑問を持ちます。

そして、姉の死の真相を知るためには姉と同じ大学に入学するしか方法が無いと考えた玲美ですが、姉の芙美子が通っていた大学は、東大と並ぶ偏差値トップの超名門私立大学「馳田学院」。

今の玲美の成績では、とても合格の可能性はありません。

玲美から相談を受けた同級生――「学年一の優等生“並木愛香”」「機械いじりが得意な“平賀隼人”」「芙美子の陸上部の後輩でスポーツ万能の“椿井杜夫」――の3人が考え出した”方法“とは?

そして「芙美子」の死の真相は?


ということで、ここからはタイトル通りまさに“カンニング大作戦”。

玲美たちの前に立ちはだかるのは高校の意地の悪い担任教師や、大学の“不正許すまじ”というお堅い試験官です。

姉の死の真相を調べるために何とか合格しようとする玲美(とそれをフォローする仲間たち)と、何があっても不正を暴こうとする教師陣の、手に汗にぎるコン・ゲーム。

作中には、ローテクからハイテクまで様々なカンニング・テクニックやカンニング・グッズが登場し、その意外な手口(しかし実現不可能とは思えない!)で読者を楽しませてくれます。

しかしながら、巻末の大矢博子さんの解説にもあるように、この作品に登場するカンニングのほとんどは親友の助けがあってこそ成功するものばかり。

そういう意味では、この作品は「ミステリ」「コン・ゲーム」であると同時に非常に優れた「青春小説」でもあります。

玲美が姉の死に疑問を持つきっかけとなった手帳の記述と、その真相が実際に見えてくるあたりの流れはまさに”本格ミステリ”的ですが、それ以上に、試験本番の最後の科目での玲美の文章など、読者の涙を誘う(というか実際にウルウルしてしまいましたが)シーンが印象的です。

7/4の読了日記でも書きましたが、この「カンニング少女」といい、最新作「我が家の序列」といい、黒田研二さんの作品にはこういうタイプの物もあるのか、と驚かされた一作です。

名探偵や大がかりなトリックが出てくるような作品ではありませんが、とてもオススメの、そしてお気に入りの一冊です。


以下、蛇足かもしれませんがこの作品について語りたい事があといくつか。

まずは玲美が通う高校の教師の名前。

担任の安倍夏夫。現代文の福田明。ライティングの矢口。リーディングの保田圭太。地理の加護。化学の中澤。体育の後藤真介。物理の石黒。数学の石川梨夫。古典の辻希明。

くろけんさんらしいというか・・・・元ネタは言うまでもないですね。

また作中のテストの解答に、この「カンニング少女」の前年に書かれた作品「結婚なんてしたくない」がさりげなく登場しているあたり、こういうちょっとした遊び心は大好きです。

そしてこの作品が心に残ったのは、やはり印象に残る、そして共感できる文章が多かったからこそ。

「暗記力しか試されないテストで高得点をとったって、全然自分のためにはならない」ってね(P124より)

私たちが大人になってからのことを想像してみて。(中略)だったら、いちいち暗記する必要なんてないじゃない。本当に大切なのは、無数のデータの中から必要なものだけを抽出して、そこから新しい答えを導き出す力だもん。(P125より)

ルールばかりを厳守して、あらかじめ定められた場所からまったく動けないようじゃ、進歩なんてなにもないじゃない。(P234より)

周りに流されず、自分の意志をしっかり持つことと、定められたルールに従わず、好き勝手に行動することは、似ているようでまったく違う。(P234より)

う~ん、共感。







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2009/07/14 02:03|・黒田研二TB:0CM:2

コメント
試験の意義
作品は非常に感動的で、学生時代にカンニング、教授への泣き落とし等で何とか卒業した身の私には凄く共感出来ました。
その一方で、試験と縁遠くなって実感するのは、どんな内容(丸暗記のみでOK等)の試験でも、本質は脇目も振らず一心不乱に集中して勉強する精神力の養成にあると気付きました(偉そうな事を書いてますが、今野敏「隠蔽捜査」シリーズ主人公竜崎の姿勢から感じただけです・・・)
現役で試験に直面している世代の人々にも、後悔しない為に気付いてほしいです。
江守森江 #JalddpaA|2009/07/15(水) 09:46 [ 編集 ]

まさに
精神力の養成、まさにその通りですよね。
漢字の読みや九九など、日常生活で必要な知識は当然覚えない訳にはいきませんが、そういう物を除けば試験の内容など大半は人生に必要のないものばかり。
ただ内容はともかく、試験に向けて一所懸命努力したという経験は何かしら糧になっている気がします。
あまり”ゆとり”過ぎる教育もどうかとは思いますが、少なくとも勉強よりも大切な事が山ほどある事を学校でももう少し教えてくれるといいのにな、と感じています。
音倉誓示 #-|2009/07/16(木) 00:08 [ 編集 ]

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