~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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パラドックス学園―開かれた密室 (光文社文庫)パラドックス学園―開かれた密室 (光文社文庫)
(2009/01/08)
鯨 統一郎

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パラドックス学園パラレル研究会、通称パラパラ研。ミステリ研究会志望のワンダは何故か、このパラパラ研に入部することに。部員はドイル、ルブラン、カー、クリスティーと名だたるミステリ作家の名前を持つものばかりだが、誰もミステリを読んだことがないという…。やがて起きる“密室殺人”と予想もできない究極の大トリック。

鯨統一郎さんの「パラドックス学園」(光文社文庫)を読みました。

先日の「ミステリアス学園」(光文社文庫)に続く、「湾田乱人シリーズ(?)」の2作目です(「ミステリアス学園」の記事はこちらから→「ミステリアス学園/鯨統一郎」(光文社文庫)読了。)。

「ミステリアス学園」では冒頭に「*冒頭の一行で、内外名作ミステリのすべての真相を明かしていますので、未読のミステリを残しているかたは二行目からお読みください。」という無茶な一文が付されていましたが、今回の「パラドックス学園」では、同じく冒頭にこんな一文が。

作品内で、この作品自体の犯人、トリックなどに言及していますので、本作を読了されたかただけこの作品をお読みください。

・・・・・さすが“パラドックス”学園。


さて、今回の主人公は「ワンダー・ランド」。

前作の主人公「湾田乱人(わんだらんど)」と微妙に名前が違いますが、どうやら彼は前作の後に別の世界に転生し、今度はワンダとして、アメリカにあるパラッドクス学園に入学したようです。

前作で、ミステリ初心者だった湾田はミステリアス学園のミステリ研究会(通称“ミスミス研”)に入部してミステリの事を色々と学びました。

という事で、今回の主人公であるワンダはすでにかなりのミステリマニアなのですが、入学したパラドックス学園にはミステリ研究会が無かったため、しかたなく「パラドックス学園パラレル研究会」、通称「パラパラ研」に入部する事にします。

部室を訪れたワンダの前に姿を現したのは、ともに3年生だという先輩二人、その名も「コナン・ドイル」先輩と「モーリス・ルブラン」先輩です。

しかしその名前とは裏腹に、この二人は「ミステリ小説」というものが何なのか知らないようで、しかも話をしていくうちに、この世界にはなんと「ミステリ」という概念自体が無い事が判明します。

そこに姿を現すのは、2年生の「アガサ・クリスティー」先輩。

そしてさらに翌日には、ワンダ同じく新入部員として「ジョン・ディクスン・カー」も登場します。

そして中々その姿を現さないパラパラ研の部長は、やはりこの人「エドガー・アラン・ポー」先輩でした。

数日後には「フレデリック・ダネイ」と「マンフレッド・B・リー」の二人も新たに入部し、明らかに若かりし頃の大物ミステリ作家が集合しているとしか思えない状況なのですが、ワンダ以外は誰も「ミステリ」を知りません。

書店に出かけ、店員にミステリのコーナーはどこか尋ねると、怪奇現象やUFOの本の所に案内される始末。

どうやらこの世界には、ノンフィクション以外に「殺人事件を扱った小説」というのは無いようです。

ところが!

なんとこの世界では、「内側から鍵がかけられていた部屋で人が殺され、2つしかない合鍵は2つとも被害者のポケットから発見された事件」や「独房のような、壁の高いところにわずかな穴しか空いていない部屋で人が殺された事件」が毎日のように起こっており、しかもカーが言うには、海の向こうの日本という国は不可能犯罪の宝庫で「館全体を斜めに造ってしまったり」「館全体が機械仕掛けで動くように造ったり」と、犯罪を犯すために館をまるごとつくってしまう犯人がやたらと多く、中には妙な館ばかり造っている有名な建築家(きっと「N村S司」の事ですね!)もいるそうです(笑)

そう、この世界は「推理小説」こそ無いものの、現実には不可能犯罪が多発している世界だったのです!

ポー先輩の部屋に現れる着ぐるみの大猿や、ドイル先輩の部屋に現れる毒蛇のオモチャなど、茶目っ気のあるシーンを挟みながら物語は進んで行き、時にはフレデリックとカーが「真に美しいのは“ロジック”か“トリック”か」で大議論をしたりします。

そのうち、ワンダの勧めでみんなは少しずつミステリ小説を書く事に興味を持ち始め、アガサ先輩はベルギー人の叔父や、セント・メリー・ミード村に住んでいる叔母さんを主人公にした物語を構想し始めるのですが、そんな中、密室である「シェルター」に閉じこもっていたカーが何者かに殺害されてしまいます。

はたして犯人は誰なのか!?

パラパラ研のメンバーによる様々な推理が飛び交う中、この逆説に満ちた世界の中でワンダの本当の名前も明らかになり・・・・・。


いやいや、前作「ミステリアス学園」に負けず劣らずこれまた楽しめる一冊でした。

メフィスト2009Vol.1」に掲載されている「ミステリジョッキー第7回」の中で、有栖川有栖さんと綾辻行人さんは、ミステリの魅力には「オドロキ」と「ナルホド」の二種類がある(もちろん優れた作品はこれが同時に来る)という趣旨の話をされていますが、この表現を借りるなら、この鯨統一郎さんの「パラドックス学園」(と前作「ミステリアス学園」)の魅力は「ニヤニヤ」といったところでしょうか。

意外な犯人の「オドロキ」はありますが、とても万人が納得するような物ではないでしょうし、「ナルホド」に関しては色々と無理な所のある作品ではあるのですが、ただ2冊とも終始「ニヤニヤ」しながら読めた作品だったという事は自信を持って言えます(笑)

懐かしのパラパラ漫画も付いたこの一冊、どうぞ皆様ご一読を。


それにしても、とてつもなくシュールなラストシーンが頭から離れません・・・。







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2009/06/25 16:01|・鯨統一郎TB:0CM:0

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