~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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ペガサスと一角獣薬局ペガサスと一角獣薬局
(2008/08/21)
柄刀一

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ユニコーン。ペガサス。ドラゴン。永遠の命と再生する館。伝説に秘められているのは、祈りかそれとも禍か。“世界の伝説と奇観”を取材するフリーカメラマンの南美希風が挑む、奇跡としか呼びようのない難事件。壮大にして奇想天外、柄刀一の真骨頂。

柄刀一さんの「ペガサスと一角獣薬局」(光文社)を読みました。

雑誌「ジャーロ」に、2004年から2008年にかけて掲載された作品4篇に書き下ろし1篇を加えた短編集です。

残念ながら私はこれまでのシリーズ作品は未読なのですが、この短編集は「南美希風シリーズ」の最新作、という位置づけのようです。

第9回本格ミステリ大賞の候補作でしたので当然公開開票式の前には読んでいたのですが、記事を書くのがすっかり遅くなってしまいました・・・。


「龍の淵」

フリーのカメラマンとして「世界の伝説と奇観」というテーマで世界中を取材している「南美希風」ですが、この日はイギリスの山間部に建てられたある山荘を訪れています。

この山荘の主人は「リチャード・クレボルト」。

この地には「龍」に関する伝説が数多く残っており、またこの山荘には“龍の木乃伊”が飾られているのです。

吹雪となったこの晩、家具職人の「エドマン・ボーグ」、女医の「マチルダ・バーシュ」、クレボルトの下で働いている「モスマン・ランドフィールド」と共にこの山荘に泊めてもらう事になった美希風。

翌朝、目を覚ました美希風が2階の個室を出てホールに降りようとすると、山荘の玄関が血の海になっているのが目に入ります。

玄関の扉には内側から巨大な力で粉砕したかのような大きな穴が開き、そのそばには山荘の主人であるクレボルトの、胸と腹の辺りをえぐられ、上半身と下半身がちぎれそうになっている血まみれの死体が。

棚からは“龍の木乃伊”が姿を消しており、現場の様子は、まるで伝説に沿って龍が蘇り、クレボルトの体と玄関のドアを貫いて飛び去ったかのように見えます。

いくつかの手掛かりから、美希風は見事に真相を解明するに至るのですが、う~ん、豪快なトリックだとは思いますが、ちょっと無理があるような。


「光る棺の中の白骨」

この作品は本格ミステリ作家クラブ編のアンソロジーで既読ですので、そちらをご覧くださいませ→「大きな棺の小さな鍵/本格ミステリ作家クラブ編」読了。


「ペガサスと一角獣薬局」

イギリスのウェールズ地方の北部に位置する「シャルウッドの森」という所にユニコーンがいるという情報をつかんだ美希風は、早速この地を訪れ、しかも美希風自身がそのユニコーンを実際に目撃します。

しかも最近ではユニコーンだけではなく、ペガサスを見たという情報も。

このシャルウッドの“城(シャトー)”に住んでいる「エベレット子爵」の下で働いている「ケヴィン」がペガサスの足跡を見つけたというので、彼の案内で森に入ってみると、確かに一組の蹄の跡が、まるでそこから飛び立ったかのように道の途中で忽然と消えています。

ところがその晩ケヴィンの弟である「ロイ」が死体で発見され、鳩尾には蹄で蹴られたような痣が、そして背中には、まるで角で貫かれたかのような円錐形の刺し傷が残っていました。

しかもその少し後、行方不明のケヴィンを捜していた美希風たちの目の前に、なんと上空からものすごい速さでケヴィンが落下してきて、真っ逆さまに地面に叩きつけられたまま絶命します。

ロイはユニコーンに刺し殺されたのか?

ケヴィンはペガサスの上から落下したのか?

その真相は、どうぞ作品を読んでお確かめくださいませ。

ミステリだけではなくファンタジーも好きな私にとって聖獣たちの登場はもちろん魅力的だったのですが、今回の作品ではそれ以上にクララとグラディスおばあちゃんの二人に心惹かれました。

最後の一文が白眉です。


「チェスター街の日」

今回の主人公は美希風ではなく、電動車椅子に乗った32歳の東洋人「草薙哲哉」です。

マレーシアで農園や鉱山を所有する叔父から大きな遺産を相続した哲哉は、その財産を狙う叔父の元部下たちからつけ狙われます。

その悪党グループ(叔父の元部下たち)の尻尾を押えるための重要な証人を探して、哲哉は弁護士の「トニー・ベンソン」と一緒に、イングランドの中東部、チェシャ州にある「ランドエンド・ハウス」を訪れますが、そこで弁護士ともども怪我を負ってしまい、しかも治療の為に立ち寄った病院からの帰り道に突然背後から襲われ、意識を失ってしまいます。

目を覚まし、軟禁場所から何とか脱出した哲哉でしたが、謎めいた生命力に満ちたパワースポットとして“再生館(リジェネレイト・パレス)”とも呼ばれているランドエンド・ハウスを再び訪れてみると、血の染みがついたはずの石柱はきれいになっており、死んだはずの犬は生き返り、枯れかけていた木には青々と葉が茂っています。

混乱した彼は、偶然出会った「B・B」と名乗る東洋人らしい女性に言われるまま、あるパブに入るのですが、そこで美希風と出会い、自身の奇妙な体験を話します。

彼の話を聞いた美希風が辿り着いた真相は・・・?

いや~、こういうタイプのミステリは大好きです!

多少ご都合主義的な部分があるのは否めませんが、それを補って余りある非常に魅力的な真相でした(阪神タイガーズうんぬんには笑わせていただきました)。

微笑ましく美しいラストシーンも最高です。


「読者だけに判るボーンレイク事件」

出版社に勤めている「フォンド」は、ある雑誌の企画でボーンレイクを訪れています。

そしてフォンド副部長を始めとする撮影チームを案内するのは、この辺り一帯の大地主にして資産家の「リチャード・クレボルト」。

カメラマンの「マーフィー」は、“龍の骨”と呼ばれる湖底木を撮影するためにクレボルトからボートを借りようとしますが、フォンドは“ある理由”から何とかそれを阻止しようとします。

そしてフォンドがその3年前の出来事に思いを馳せながら撮影を続けていると、ロッジの夜回りからクレボルトが戻ってきて・・・・・。

いや~、まさに“読者にだけ判る”ですね。

この作品に描かれていない真の物語を知る事が出来るのは、この短編集の1作目「龍の淵」を読んだ読者だけです。

こういう趣向はすごく好きです。


さて「第9回本格ミステリ大賞」こそ惜しくも逃したものの、それでこの作品の価値が下がる訳ではありません(と言うか、そもそも候補作に選ばれた事自体がこの作品の面白さを保証している訳ですが)。

柄刀一さんの「南美希風シリーズ」。

また1作目から読みたいシリーズが一つ増えてしまいました。







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2009/06/11 11:39|・柄刀一TB:0CM:0

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