~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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告白告白
(2008/08/05)
湊 かなえ

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わが子を亡くした女性教師が、終業式のホームルームで犯人である少年たちを指し示す。様々な人間の言葉が事件の真相を解き明かす。(第29回小説推理新人賞受賞作。)

個人的な注目作「告白」を読みました。

面白い!の域を超えてすごい!の一言です。

年に何度かこういう本に出会えるから、読書はやめられません。

この作品は「聖職者」「殉教者」「慈愛者求道者」「信奉者」「伝道者」の全6章から成り立っており、それぞれ別々の人物による1人称の語りで綴られています。


まずは幼いわが子を校内で亡くした女性教師が、終業式のホームルームで、中学1年生である自分のクラスの子供たちに語り続ける「聖職者」。

47ページにわたる第1章は全てこの女性教師の台詞で構成されており、その中で、この教師はわが子を殺した犯人である少年2人を告発します。

「私は二人の名前をこの場で公表するつもりはありません」と前置きしながら、真綿で首を絞めるように、そして誰にでも犯人が特定できるような詳細な語りで犯人を追い詰めていく教師の言葉・言葉・言葉・・。

そこにあるのは激しい憎悪以外の何物でもありません。

そして迎える第1章衝撃のラスト。


第2章「殉教者」では、このクラスにいたある女生徒の手紙という形で、その後の物語が語られていきます。

法ではなく、被害者の母親である担任から裁きを受けた少年2人がその後どうなったのか・・。

子供とは、かくも残酷な生き物です・・。


犯人の少年の姉の視点から、少年の母の日記を中心に語られる「慈愛者」。


壊れてしまった少年の心の内「求道者」。


そしてもう一人の少年が新たな行動を起こす「信奉者」。

物事というのは見る者により姿を変え、「真実」という言葉がどれだけ不安定なものか思い知らされます。

主観と客観。

あなたが真実だと思っている出来事は、誰の目から見ても真実ですか・・?


そして「伝道者」。

わずか13ページ足らずのこの最終章で、この救いようのない物語は新たな衝撃とともに幕を閉じます。


・・・読後感は最悪です。

語られることのなかったこの先の物語は知りたいとも思いません。

救いようのない物語。

人によってはこの作品に嫌悪感を抱くかもしれません。

しかし最初に述べましたが、本当に「すごい!」としか言いようのない作品でした(ボキャブラリーが少なくてすみません・・)。

私がもしも書評家か何かだったら

「これがデビュー作である著者は、この作品を通じて現在のマスコミ報道や少年法、また教育現場における数々の問題点にメスを入れ、現代社会に警鐘を鳴らすことに成功した。今後の作品が期待される。」

などと言うところかも知れませんが、単なるいち読者としては、これだけの力を持った作品に出会えた事にただただ感謝し、1人でも多くの人に読んで欲しいと願うばかりです。

繰り返しますが、読後感は最悪です。

この物語の底に流れているのは、憎悪と狂気以外の何物でもありません。

○○も、これを読んだ後はあまり飲みたくありません(読んだ方には分かると思いますが・・)。

HIV・更生した熱血教師・大ヒットとなったあるアイドルグループの歌・続発する少年少女による猟奇的な事件・加熱するマスコミ報道・被害者ではなく加害者を守る少年法・モンスターペアレンツ・・・。

現実の様々な出来事や問題点を、時には皮肉に狂言回しとして、時には真剣に問題視し、この物語は進んでいきます。


心の底からすごいと思える作品に今年も出会えた事に感謝。







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2008/09/16 23:24|・湊かなえTB:1CM:1

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