~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)
(2008/04/21)
三津田 信三

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忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。「しろじぞうさま、のーぼる」一人目の犠牲者が出た。「くろじぞうさま、さーぐる」二人目の犠牲者―。村に残る「六地蔵様」の見立て殺人なのか、ならばどうして…「あかじぞうさま、こーもる」そして…。六地蔵様にまつわる奇妙な童唄、消失と惨劇の忌み山。そこで刀城言耶が「見た」ものとは…。『首無の如き祟るもの』に続く渾身の書き下ろし長編。

三津田信三さんの「山魔の如き嗤うもの」を、不本意ながら読みました。

・・・と言うと非常に誤解を招きそうですが、この三津田信三さんの「刀城言耶シリーズ」は以前からずっと楽しみにしていた未読のシリーズでしたので、何としてもシリーズの一作目である「厭魅の如き憑くもの」から順番に読みたかったのですが、今回限られた日数の中で「第9回本格ミステリ大賞」の候補作を全て読むため、泣く泣くシリーズ第四作目である「山魔の如き嗤うもの」を読みました。

という事で、今回の感想の中にはシリーズの愛読者にとっては「何をいまさら」という内容も多分に含まれると思いますが、どうか笑ってお許し下さいませ。


奥多摩を流れる媛首(ひめかみ)川の源流域である神戸(ごうど)。

そして、その神戸にある初戸(はど)の村の筆頭地主である郷木(ごうき)家。

物語は、その郷木家の四男である「郷木靖美(ごうきのぶよし)」が自身の奇妙な体験を綴ったという手記で幕を開けます。


村を出て、東京で私立中学校の英語教師になった靖美。

あるとき彼は、地元の集落に昔から伝わる”成人参り”という儀礼を行うために里帰りをし、しきたりに従って儀礼の舞台となる「三山(みやま)」に足を踏み入れます。

しかしそこで彼が体験したのは、不気味な赤ん坊の泣き声、空中を行き交う絶叫、ひたすら見詰められる視線、飛び掛かって来る怪火、そして禍々しい山魔の呼び声。

恐怖のあまり道を見失った靖美は、気がつけば「忌み山」として恐れられている「乎山(かなやま)」に迷い込んでしまいます。

しかしその「入らずの山」であるはずの乎山には、なぜか二階建ての立派な一軒家が建っており、そこには数十年前にこの神戸の地を出て行ったはずの「鍛炭立一(かすみたついち)」一家が住みついていました。

日も暮れ、もはや元の道に戻ることも出来ない靖美はここに泊めてもらうのですが、翌朝、この一家は食べかけの朝食を囲炉裏のそばに残したまま、まるで神隠しにでもあったように全員が忽然と姿を消してしまいます。


この不思議な体験を手記にした靖美は、これを老舗の出版社である「怪想舎」に送り、それを読んだ怪想舎の編集者「祖父江偲(そふえしの)」は、この原稿を“流浪の怪奇小説家”である刀城言耶に送ります。


早速調査のために現地に赴く刀城言耶ですが、この手記に記された内容が、まさかその後の凄惨な連続殺人の発端となるとはまだ知る由もありませんでした・・・。


初めて読む「刀城言耶シリーズ」でしたが、噂に違わぬレベルの高い作品でした。

古くからの慣習が残る集落で発生する、わらべ唄を模した連続見立て殺人。

雰囲気といいコンセプトといい、当然横溝正史のあの作品が思い浮かびます。


終盤に至っては、言耶が辿り着いた意外な真相に驚いたのもつかの間、すぐに言耶自身がその推理を自ら否定し、さらにはそれ以上に意外な――しかし筋の通る――真相を読者の目の前に突きつけてきます。

噂には聞いていましたが、このめくるめくどんでん返しが素晴らしかった!

いかにも伏線めいた伏線というのもあちこちに散見はされましたが、まさかこんな事まで、というエピソードが実に重要な伏線として機能していたりして、徹底した著者のたくらみには唸らされるばかりでした。

他にも、このホラーテイストの強いミステリの中において、言耶と偲のユーモラスな掛け合いは妙にほのぼのとしており、一見好青年風でありながら“怪異”に関してはその性格が豹変する言耶のキャラクターもなかなか楽しめました。

”怪奇小説家の探偵七つ道具”の、万年筆型ライト以外のグッズが気になるのですが、他の作品にはいくつか登場しているのでしょうか?


作中の、以前刀城言耶祖父江偲に言ったという言葉「この世の全ての出来事を人間の理知だけで解釈できると断じるのは、人としての驕りである。かといって安易に不可解な現象そのものを受け入れてしまうのは、人として余りにも情けない」が非常に印象的でした。








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2009/05/11 01:58|・三津田信三TB:0CM:0

 

三津田信三シリーズ」
 ・忌館 ホラー作家の棲む家・・・講談社ノベルス(’01)、講談社文庫(’08)
  (ノベルス版「ホラー作家の棲む家」から文庫化に際し改題)
 ・作者不詳 ミステリ作家の読む本・・・講談社ノベルス(’02)、講談社文庫(未刊、’10年発売予定?)
 ・蛇棺葬・・・講談社ノベルス(’03)
 ・百蛇堂 怪談作家の語る話・・・講談社ノベルス(’03)
 ・シェルター 終末の殺人・・・東京創元社ミステリ・フロンティア(’04)

「刀城言耶シリーズ」
 ・厭魅(まじもの)の如き憑くもの・・・原書房ミステリー・リーグ(’06)、講談社文庫(’09)
 ・凶鳥(まがとり)の如き忌むもの・・・講談社ノベルス(’06)、原書房ミステリー・リーグ(’09)
 ・首無(くびなし)の如き祟るもの・・・原書房ミステリー・リーグ(’07)、講談社文庫(未刊、’10.5.14発売予定)
 ・山魔(やまんま)の如き嗤うもの・・・原書房ミステリー・リーグ(’08)
 ・密室(ひめむろ)の如き籠るもの・・・講談社ノベルス(’09)
 ・水魑(みづち)の如き沈むもの・・・原書房ミステリー・リーグ(’09)

「死相学探偵シリーズ」
 ・十三の呪・・・角川ホラー文庫(’08)
 ・四隅の魔・・・角川ホラー文庫(’09)
 ・六蠱の躯・・・角川ホラー文庫(’10)

「家シリーズ」
 ・禍家・・・光文社文庫(’07)
 ・凶宅・・・光文社文庫(’08)
 ・家シリーズ第3弾・・・光文社文庫(未刊、’10年6月発売予定)

「その他」
 ・スラッシャー 廃園の殺人・・・講談社ノベルス(’07)
 ・赫眼(あかまなこ)・・・光文社文庫(’09)

「共著等」
 ・ホラー・ジャパネスク読本・・・双葉文庫(’06)


’10.5.2 改訂9版
太字は既読作品)








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2008/09/26 22:49|三津田信三著作リストTB:0CM:0

 

凶宅 (光文社文庫 み 25-2)凶宅 (光文社文庫 み 25-2)
(2008/09/09)
三津田 信三

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ここ、絶対におかしい。小学四年生の日比乃翔太は、越してきた家を前に不安でならなかった。山麓を拓いて造成された広い宅地に建つのは、なぜかその一軒だけ。両親と姉は気にも留めなかったが、夜、妹のもとにアレはやって来た。家族を守るため、翔太は家にまつわる忌まわしい秘密を探り始める。そこで出会ったのは、前の住人である少女が綴った恐ろしい日記だった…。たたみかける恐怖。仕掛けられた数々の伏線。三津田マジック、ここにあり。

先日の「禍家」に続き、今日は「凶宅」を読み終えました。

先日も書いた通り「ホラーとミステリの融合」がこの著者の特徴だそうですが、この作品は「禍家」に比べるとミステリ的要素は幾分薄かった気がしますが、その分(?)ゾクゾク感はたっぷり味わえました。

私自身が、最後には全ての謎がきれいに解かれるロジカルな本格推理が一番好みなため、どうしても曖昧な部分が残るとイマイチすっきりしない所はありますが、それはホラー小説の特徴ということで割り切るしかないですね

とはいえ、「凶宅」の最後の1行は「禍家」のそれよりも更にショッキングで、恥ずかしながら文字通り全身に鳥肌が立ちました・・。

歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」のように、最後の最後で、それまで自分が思い描いていた世界が一気にひっくり返されるようなカタルシスが本格ミステリの醍醐味ですが、「凶宅」のような終わり方も別の意味で気持ちいい(気持ち悪い?)ものでした。

以前よりも少しホラーが好きになった気がします。

さて、三津田作品のもうひとつの特徴として、それぞれの作品世界が微妙にリンクしているというのがあります(伊坂幸太郎と同じですね)。

この「家シリーズ(勝手に名付けました)」では、「吉川清」くんという男の子がそれぞれの作品に(名前だけ)登場します。

禍家」の主人公、12歳の棟像貢太郎の転校前の小学校の友達で、ミステリ好き。

明智小五郎金田一耕助神津恭介などの名前を主人公に教えたそうです。

また「凶宅」では、同じく主人公で小学校4年生の日比乃翔太は、小学校1年生の頃に友達の「吉川清」くんの家に遊びに行って、そこのお婆さんから気味の悪い話を聞いたそうです。

こういう趣向が、本好きにはたまりませんよね。

私はまだ残念ながら、作者と同じ名前の作家兼編集者が登場する「三津田信三シリーズ(?)」、人気を博している「刀城言耶シリーズ」を未読ですのでよく分かりませんが、それらの作品群ともリンクする部分があるようで、楽しみにしています(「禍家」に登場した「作家が住んでたんだけど、その家を舞台にした怪奇小説を書いているうちに頭がおかしくなって、そのまま行方不明になった<人形荘>」の話など)。

デビュー作ですね。

早く読まねば!







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2008/09/18 17:35|・三津田信三TB:0CM:0

 

禍家 (光文社文庫 み 25-1)禍家 (光文社文庫 み 25-1)
(2007/07)
三津田 信三

商品詳細を見る
「ぼうず、おかえり…」12歳の少年・棟像貢太郎は、近所の老人が呟く言葉に不吉な予感を覚えていた。両親を事故で亡くし、祖母と越してきた東京郊外の家。初めての場所のはずなのに、知っている気がしてならないのだ。そして、怪異が次々と彼を襲い始める。友達になった少女・礼奈とともに探り出した、家に隠された戦慄の秘密とは?期待の俊英の書下ろし長編。

という訳で、三津田信三の「禍家」、本日無事に読み終わりました。

厭魅の如き憑くもの」や「凶鳥の如き忌むもの」などの刀城言耶シリーズが有名な著者ですが、以前から気になりながら中々読む機会が無く、ついつい後回しになっておりました。

ところが先日職場でその日に入荷した新刊をチェックしていたら、三津田信三の光文社文庫書き下ろし第2弾「凶宅」が入荷してきており、思わず第1弾の「禍家」と一緒に衝動買いしてしまいました。

好きなものに囲まれて仕事をしていると、お金がいくらあっても足りないですね・・。

さて、相変わらず前置きが長くなってしまいましたが、「ホラーと本格ミステリを融合させる作家、三津田信三」の作品だけあって、中々面白かったです。

ホラーと本格ミステリの融合と言えば、私は綾辻行人の「囁きシリーズ」を真っ先に思い出すのですが、「囁きシリーズ」が、妖しげな、かつ鮮烈な色のイメージで覆われていたのに比べ、この「禍家」は本当にストレートなジャパニーズ・ホラーという印象でした。

欧米に多いスプラッタ・ホラーとは違い、目に見えない何かが「ひたひた・・」と忍び寄ってくる感じが何とも言えず、またそこに本格ミステリ的な手法も合わせてあり、まさに評判通りの面白さ(怖さ?)でした。

もし暗い部屋で一人で読んでいたらちょっとシャレにならなかったと思います・・。







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2008/09/14 23:31|・三津田信三TB:0CM:0

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