~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

プロフィール 

音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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ふたりのシンデレラ (光文社文庫)ふたりのシンデレラ (光文社文庫)
(2005/09/08)
鯨 統一郎

商品詳細を見る
「ふたりのシンデレラ」を上演するため合宿中の劇団を襲う惨劇。主役を巡り女優や演出家が対立する中、一人は殺され、一人は失踪、一人は重傷を負い記憶を…。シンデレラが仕掛けた罠とは何か?事件の証人であり、犯人であり、犠牲者で、探偵役で、ワトソン役で、記録者で、容疑者で、そして共犯者でもある…一人八役の「わたし」が語る驚愕の真相とは。

鯨統一郎さんのノンシリーズ長編「ふたりのシンデレラ」(光文社文庫)を読みました(4月に・・)。

以前FLIPさんのサイトで紹介されていて興味を持ち、読んでみた一冊です(FLIPさんの書評サイト「あかずの書斎:ふたりのシンデレラ」はこちらから)。


これから私が物語る事件は巧妙にしくまれた殺人事件です。
私はその事件で探偵です。
また証人です。
また被害者です。
そのうえ犯人なのです。
私は四人全部なのです。
いったい私は何者でしょう。


という魅力的なキャッチコピーが付いた、セバスチャン・ジャプリゾ著の「シンデレラの罠」というミステリの古典的名作があるそうです(不勉強のため知りませんでしたが)。

そして明らかにこの「シンデレラの罠」を意識して書かれたこの「ふたりのシンデレラ」は、

わたしはこの事件の証人です。
同時に、犯人です。
そして、犠牲者でもあります。
それどころか、探偵役でもあります。
加えて、ワトソン役も務めます。
もちろん、記録者でもあります。
さらに、濡れ衣を着せられる容疑者でもあります。
最後に、共犯者でもあるのです。


という、一人八役(「シンデレラの罠」のなんと倍!)の宣言で物語の幕を開けます。


資産家の医師「国友広史」が主催する劇団「O-RO-CHI」のメンバー8人は、次回公演の練習のため、国友が所有する小さな無人島にやってきます。

島に建てられた別荘で寝泊まりしながら日々稽古に励むメンバーたち。

看板女優の「天野川夕華」とイケメン俳優の「天野川敬介」は夫婦ですが、夕華のライバルである「夏村芽衣」が敬介に言い寄っていたりと、メンバーそれぞれの人間関係はあまりいいとは言えないようです。

そんなある日、島にある国友の個人病棟で火事が発生し、焼け跡からは顔に大火傷を負い記憶喪失状態の“夕華”と、全身丸焦げの“芽衣”らしき死体が発見されます。

同時に“天野川敬介”も行方不明になっており、これは事故なのか事件なのか、もし事件ならば姿を消した敬介が犯人なのか・・・・、“夕華”の記憶もなかなか戻らず、警察の捜査は暗礁に乗り上げます。

一体この島で何が起きたのか?

はたして事件の真相は?


という事で、一人八役というかなりトリッキーなこの作品。

本格ミステリである以上は「地の文で嘘をつけない」という暗黙のルールがありますので、これを成立させるために色々と無理な部分があるのも否めないというか、かなりギリギリのラインで書かれているという印象の作品です。

ある程度ミステリに慣れた読者ならなんとなく真相は想像できるでしょうし、万人にオススメできる素晴らしい作品とは正直言えません。

ただし、この「一人八役」という非常に難易度の高い作品を書いてみようと思い立ち、実際にそれにチャレンジするという鯨統一郎さんのこの心意気が何とも楽しいではありませんか!


これだけの作品をハイペースで発表し続ける鯨統一郎さんは一体どんな方なのでしょう?

う~ん、覆面作家の素顔が気になる。







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2009/07/05 00:08|・鯨統一郎TB:0CM:2

 

パラドックス学園―開かれた密室 (光文社文庫)パラドックス学園―開かれた密室 (光文社文庫)
(2009/01/08)
鯨 統一郎

商品詳細を見る
パラドックス学園パラレル研究会、通称パラパラ研。ミステリ研究会志望のワンダは何故か、このパラパラ研に入部することに。部員はドイル、ルブラン、カー、クリスティーと名だたるミステリ作家の名前を持つものばかりだが、誰もミステリを読んだことがないという…。やがて起きる“密室殺人”と予想もできない究極の大トリック。

鯨統一郎さんの「パラドックス学園」(光文社文庫)を読みました。

先日の「ミステリアス学園」(光文社文庫)に続く、「湾田乱人シリーズ(?)」の2作目です(「ミステリアス学園」の記事はこちらから→「ミステリアス学園/鯨統一郎」(光文社文庫)読了。)。

「ミステリアス学園」では冒頭に「*冒頭の一行で、内外名作ミステリのすべての真相を明かしていますので、未読のミステリを残しているかたは二行目からお読みください。」という無茶な一文が付されていましたが、今回の「パラドックス学園」では、同じく冒頭にこんな一文が。

作品内で、この作品自体の犯人、トリックなどに言及していますので、本作を読了されたかただけこの作品をお読みください。

・・・・・さすが“パラドックス”学園。


さて、今回の主人公は「ワンダー・ランド」。

前作の主人公「湾田乱人(わんだらんど)」と微妙に名前が違いますが、どうやら彼は前作の後に別の世界に転生し、今度はワンダとして、アメリカにあるパラッドクス学園に入学したようです。

前作で、ミステリ初心者だった湾田はミステリアス学園のミステリ研究会(通称“ミスミス研”)に入部してミステリの事を色々と学びました。

という事で、今回の主人公であるワンダはすでにかなりのミステリマニアなのですが、入学したパラドックス学園にはミステリ研究会が無かったため、しかたなく「パラドックス学園パラレル研究会」、通称「パラパラ研」に入部する事にします。

部室を訪れたワンダの前に姿を現したのは、ともに3年生だという先輩二人、その名も「コナン・ドイル」先輩と「モーリス・ルブラン」先輩です。

しかしその名前とは裏腹に、この二人は「ミステリ小説」というものが何なのか知らないようで、しかも話をしていくうちに、この世界にはなんと「ミステリ」という概念自体が無い事が判明します。

そこに姿を現すのは、2年生の「アガサ・クリスティー」先輩。

そしてさらに翌日には、ワンダ同じく新入部員として「ジョン・ディクスン・カー」も登場します。

そして中々その姿を現さないパラパラ研の部長は、やはりこの人「エドガー・アラン・ポー」先輩でした。

数日後には「フレデリック・ダネイ」と「マンフレッド・B・リー」の二人も新たに入部し、明らかに若かりし頃の大物ミステリ作家が集合しているとしか思えない状況なのですが、ワンダ以外は誰も「ミステリ」を知りません。

書店に出かけ、店員にミステリのコーナーはどこか尋ねると、怪奇現象やUFOの本の所に案内される始末。

どうやらこの世界には、ノンフィクション以外に「殺人事件を扱った小説」というのは無いようです。

ところが!

なんとこの世界では、「内側から鍵がかけられていた部屋で人が殺され、2つしかない合鍵は2つとも被害者のポケットから発見された事件」や「独房のような、壁の高いところにわずかな穴しか空いていない部屋で人が殺された事件」が毎日のように起こっており、しかもカーが言うには、海の向こうの日本という国は不可能犯罪の宝庫で「館全体を斜めに造ってしまったり」「館全体が機械仕掛けで動くように造ったり」と、犯罪を犯すために館をまるごとつくってしまう犯人がやたらと多く、中には妙な館ばかり造っている有名な建築家(きっと「N村S司」の事ですね!)もいるそうです(笑)

そう、この世界は「推理小説」こそ無いものの、現実には不可能犯罪が多発している世界だったのです!

ポー先輩の部屋に現れる着ぐるみの大猿や、ドイル先輩の部屋に現れる毒蛇のオモチャなど、茶目っ気のあるシーンを挟みながら物語は進んで行き、時にはフレデリックとカーが「真に美しいのは“ロジック”か“トリック”か」で大議論をしたりします。

そのうち、ワンダの勧めでみんなは少しずつミステリ小説を書く事に興味を持ち始め、アガサ先輩はベルギー人の叔父や、セント・メリー・ミード村に住んでいる叔母さんを主人公にした物語を構想し始めるのですが、そんな中、密室である「シェルター」に閉じこもっていたカーが何者かに殺害されてしまいます。

はたして犯人は誰なのか!?

パラパラ研のメンバーによる様々な推理が飛び交う中、この逆説に満ちた世界の中でワンダの本当の名前も明らかになり・・・・・。


いやいや、前作「ミステリアス学園」に負けず劣らずこれまた楽しめる一冊でした。

メフィスト2009Vol.1」に掲載されている「ミステリジョッキー第7回」の中で、有栖川有栖さんと綾辻行人さんは、ミステリの魅力には「オドロキ」と「ナルホド」の二種類がある(もちろん優れた作品はこれが同時に来る)という趣旨の話をされていますが、この表現を借りるなら、この鯨統一郎さんの「パラドックス学園」(と前作「ミステリアス学園」)の魅力は「ニヤニヤ」といったところでしょうか。

意外な犯人の「オドロキ」はありますが、とても万人が納得するような物ではないでしょうし、「ナルホド」に関しては色々と無理な所のある作品ではあるのですが、ただ2冊とも終始「ニヤニヤ」しながら読めた作品だったという事は自信を持って言えます(笑)

懐かしのパラパラ漫画も付いたこの一冊、どうぞ皆様ご一読を。


それにしても、とてつもなくシュールなラストシーンが頭から離れません・・・。







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2009/06/25 16:01|・鯨統一郎TB:0CM:0

 

幅広い作風を持つ覆面作家、鯨統一郎さんの著作リストを作りました。


「早乙女静香(宮田六郎)シリーズ」
 ・邪馬台国はどこですか?・・・創元推理文庫(’98)
 ・すべての美人は名探偵である・・・光文社カッパ・ノベルス(’04)、光文社文庫(’07)
 ・新・世界の七不思議・・・創元推理文庫(’05)

「とんち探偵一休さんシリーズ」
 ・金閣寺に密室(ひそかむろ)・・・祥伝社ノン・ノベル(’00)、祥伝社文庫(’02)
 ・謎解き道中・・・祥伝社ノン・ノベル(’03)、祥伝社文庫(’06)

「古事記伝シリーズ」
 ・千年紀末(ミレニアム)古事記伝Onogoro・・・ハルキ文庫(’00)
 ・新千年紀古事記伝Yamato・・・ハルキ文庫(’01)

「波田煌子シリーズ」
 ・なみだ研究所へようこそ!・・・祥伝社ノン・ノベル(’01)、祥伝社文庫(’04)
 ・なみだ特捜班におまかせ!・・・祥伝社ノン・ノベル(’05)、祥伝社文庫(’09)
 ・なみだ学習塾をよろしく!・・・祥伝社ノン・ノベル(’07)
 ・蒼い月・・・祥伝社ノン・ノベル(’08)

「麓うららシリーズ」
 ・タイムスリップ森鴎外・・・講談社ノベルス(’02)、講談社文庫(’05)
 ・タイムスリップ明治維新・・・講談社ノベルス(’03)、講談社文庫(’06)
 ・タイムスリップ釈迦如来・・・講談社ノベルス(’05)、講談社文庫(’08)
 ・タイムスリップ水戸黄門・・・講談社ノベルス(’06)
 ・タイムスリップ戦国時代・・・講談社ノベルス(’08)

「間暮警部シリーズ」
 ・「神田川」見立て殺人・・・小学館(’03)、小学館文庫(’06)
 ・マグレと都市伝説・・・小学館文庫(’07)
 ・マグレと紅白歌合戦・・・小学館文庫(’09)

「湾田乱人シリーズ」
 ・ミステリアス学園・・・光文社カッパ・ノベルス(’03)、光文社文庫(’06)
 ・パラドックス学園・・・光文社カッパ・ノベルス(’06)、光文社文庫(’09)

「六波羅一輝シリーズ」
 ・白骨の語り部・・・中央公論新社Cノベルス(’06)
 ・ニライカナイの語り部・・・中央公論新社Cノベルス(’08)
 ・京都・陰陽師の殺人・・・中央公論新社Cノベルス(’09)

「その他」
 ・隕石誘拐 宮澤賢治の迷宮・・・光文社カッパ・ノベルス(’99)、光文社文庫(’02)
 ・北京原人の日・・・講談社(’01)、講談社文庫(’05)
 ・九つの殺人メルヘン・・・光文社カッパ・ノベルス(’01)、光文社文庫(’04)
 ・鬼のすべて・・・文藝春秋(’01)、光文社文庫(’08)
 ・Candy・・・祥伝社文庫(’01)
 ・文章魔界道・・・祥伝社文庫(’02)
 ・ふたりのシンデレラ・・・原書房ミステリー・リーグ(’02)、光文社文庫(’05)
 ・悪魔のカタルシス・・・幻冬舎文庫(’02)
 ・みなとみらいで捕まえて・・・実業之日本社ジョイノベルス(’03)、光文社文庫(’07)
 ・ヒミコの夏・・・PHP研究所(’03)、PHP文庫(’08)
 ・月に吠えろ! 萩原朔太郎の事件簿・・・徳間書店トクマ・ノベルス(’03)、徳間文庫(’06)
 ・あすなろの詩(うた)・・・角川文庫(’03)
 ・富士山大噴火・・・講談社(’04)、講談社文庫(’07)
 ・ハッとしてトリック!・・・中央公論新社Cノベルス(’04)
 ・喜劇ひく悲奇劇・・・ハルキ・ノベルス(’04)
 ・いろは歌に暗号(かくしごと)・・・祥伝社ノン・ノベル(’04)、祥伝社文庫(’08)
 ・Morning girl・・・原書房(’05)
 ・包丁人轟桃次郎・・・早川書房ハヤカワ・ミステリワールド(’05)
 ・Kaiketsu!赤頭巾侍・・・徳間書店(’06)、徳間文庫(’09)
 ・オレンジの季節・・・角川書店(’06)
 ・親鸞の不在証明・・・祥伝社ノン・ノベル(’06)
 ・浦島太郎の真相・・・光文社カッパ・ノベルス(’07)
 ・ルビアンの秘密・・・理論社ミステリーYA!(’07)
 ・いつか、キャッチボールをする日・・・PHP研究所(’07)
 ・異譚・千早振る・・・実業之日本社(’07)
 ・ABCDEFG殺人事件・・・理論社ミステリーYA!(’08)
 ・哲学探偵・・・光文社カッパ・ノベルス(’08)
 ・鬼姫人情事件簿・・・PHP研究所(’09)


’09.7.30 改訂2版
太字は既読作品)







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2009/06/16 01:48|鯨統一郎著作リストTB:0CM:0

 

ミステリアス学園 (光文社文庫)ミステリアス学園 (光文社文庫)
(2006/04/12)
鯨統 一郎

商品詳細を見る
ミステリアス学園ミステリ研究会、略して「ミスミス研」。ミステリは松本清張の『砂の器』しか読んだことがない、新入部員・湾田乱人が巻き込まれる怪事件の数々。なぜか人が死んでいく。「密室」「アリバイ」「嵐の山荘」…。仲間からのミステリ講義で知識を得て、湾田が辿り着く前代未聞の結末とは!?この一冊で本格ミステリがよくわかる―鯨流超絶ミステリ。

鯨統一郎さんの「ミステリアス学園」(光文社文庫)を読みました。

実は読んだのは一か月以上前なのですが、このところ「探偵Xからの挑戦状!」や「本格ミステリ大賞」関連で何かと忙しく、記事を書くのがすっかり遅くなってしまいました。


この「ミステリアス学園」は全7話からなる連作短編集なのですが、まずそのタイトルを列記すると・・・

 第1話「本格ミステリの定義」

 第2話「トリック」

 第3話「嵐の山荘」

 第4話「密室講義」

 第5話「アリバイ講義」

 第6話「ダイイング・メッセージ講義」

 最終話「意外な犯人」

どうですか?

興味湧きません?

私はこの目次だけで顔はニヤけるわ涎は垂れるわで、もうたまりませんでした。


この作品は、まず冒頭に著者からの注意書きが付されています。

鯨先生曰く、

*冒頭の一行で、内外名作ミステリすべての真相を明かしていますので、未読のミステリを残しているかたは二行目からお読みください。

という事で、まだまだ多くの未読作品を残している私は、著者の警告に従い一行目を読まないように注意しながら二行目から読み始め・・・・・・・・られるわけ無いじゃないですか。

無理ですって。

確かに一行目にはあらゆるミステリのネタバレが書いてありましたので、皆さんも注意してください(笑)


で、話はようやく本編に入りますが・・・


この作品の主人公は、M市郊外にある「ミステリアス学園」に入学し、そこにある「ミステリ研究会」(通称ミスミス研)に入部した「湾田乱人(わんだらんど)」です。

ミスミス研の部員は、今年の新入生を除くと5人。

部長である4年生の「小倉紀世治」は、ぼさぼさの長髪で顔はほとんど見えず、手には常に黒い手袋をはめているというかなり怪しい人物です。

小説の好みは不明。

3年生の「平井龍之介」はミスミス研で唯一の「本格ミステリ」支持者。

同じく3年生の「長生はるか」は「ハードボイルド」の信奉者で、北方謙三の大ファンだそうです。

2年生の「星島哲也」は大藪春彦などの「アクション小説」が好み。

同じく2年生の「西村純子」は、本人のカミングアウトによれば「バイミステリ」。

「サスペンス」も「本格ミステリ」も読む両刀遣いだそうです。

そしてそこに今年の新入生として、ミステリのことは何も分からず、読んだ事のある小説は松本清張の「砂の器」だけという主人公の湾田乱人と、島田荘司が一番好きで他にも泡坂妻夫、綾辻行人、有栖川有栖、法月綸太郎、二階堂黎人、エラリイ・クイーン、カー、クリスティー、etc・・・を読んでいるという「薔薇小路亜矢花」が入部します。


この連作短編集全体の感想を言ってしまえば、とにかくメタに次ぐメタ、まさしくマトリョーシカミステリとでも名付ければいいのでしょうか。

そして最後の「意外な犯人」も本当にこれ以上ない「意外な」犯人で(まさかそこで「シュレディンガーの猫」まで持ち出してくるとは思いませんでしたが)、まさしくこの犯人の犯行を防ぐために私はこのブログを書いていると言っても過言ではありません。


ま、それはさておき、作中に登場するミスミス研部員たちの会話などを一部紹介すると・・・

松本清張か。社会派じゃないか」「いや、初期の松本作品は本格だ」

「本格ミステリって、何なんですか?」「本格的なミステリだ」「ひと言でいえば謎解き小説だ」「物語の前半部で魅力的な謎が提示され、その謎が論理的に解明される過程を楽しむ推理小説。(以下略)」

二階堂黎人は本格を次のように定義しています」――《本格推理小説》とは、手がかりと伏線、証拠を基に論理的に解決される謎解き及び犯人当て小説である。

「ミステリ小説の初めといいますと、なんでしょう」「エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人事件』だ。これは密室殺人を扱っている。(以下略)」

・・・などと、第1話からだけでも紹介したい内容が山ほどありますが、他にも、倒叙もの、叙述トリック、有栖川有栖によるアリバイトリックの分類、機械的・心理的密室トリック、プロバビリティの犯罪、クローズド・サークル、ロジックとトリック、清張による乱歩の否定、ディクスン・カーの密室講義、フットレルにチェスタトン、「虚無への供物」、日常の謎派、キャラ萌え(笑)、ダイイング・メッセージ、バカミス、ネタバレ、etc・・・とにかく本格読みにとってたまらないキーワードがてんこ盛りです!!


巻末付録の「ミステリ作家実質デビュー年区分表」も勉強になりましたし、「本格ミステリ度MAP」も面白かったです。

あ~、幸せな一冊だった~。

あっ、ちなみにこの本は別にミステリマニア向けではなく、基本的にはミステリの事をもっと知りたい読者に向けて書かれているようですので、ミステリに少しでも興味のある方はぜひっっ!!!



ただあの結末には怒る読者もいるのかな~やっぱり。

ま、次の「パラドックス学園」よりはマシだと思うのですが。




鯨統一郎さんに興味を持たれた方は、FLIPさん作成のファンサイト「くじら学習塾へようこそ!」も良かったらのぞいてみてください。







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2009/05/07 12:28|・鯨統一郎TB:0CM:5

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