~愛すべき「本格ミステリ」の世界~

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音倉誓示(Otokura Seiji)

Author:音倉誓示(Otokura Seiji)
魅力的な謎。論理的な解決。そして少しの遊び心♪
「本格ミステリ」の魅力が少しでも多くの人に伝わりますように。
元、某地方書店チェーンの店長。
九州在住。

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マリオネット・エンジン (講談社ノベルス)マリオネット・エンジン (講談社ノベルス)
(2009/02/06)
西澤 保彦

商品詳細を見る
パートナーを機械で理想のタイプに変換し愛することのできる時代が到来した。その技術に賛否が渦巻く中、思いも寄らぬ恐怖が開発者を襲う!表題作『マリオネット・エンジン』をはじめ恐怖に満ちた6作品を収録。ロジックに定評ある西澤保彦のすべてを凝縮したSFホラー短編集誕生。

西澤保彦さん初の非ミステリ短編集「マリオネット・エンジン」を読みました。

1999年から2008年にかけて雑誌などに掲載された作品に、書き下ろしの表題作「マリオネット・エンジン」を加えた1冊のようです。

ミステリ読みの私が「非ミステリ短編集」を読んでまともな感想が書けるのか、かなり不安な所ではありますが・・。


「シュガー・エンドレス」

砂糖にとりつかれた主人公(高校を中退した17歳の少年)が、家族の食事に使う砂糖の量を、家族には気付かれないように少しずつ、しかし大量に増やしていく話。

知らないうちに大量の砂糖を摂取してしまった家族たちは、やがて・・。

先日読んだ「スナッチ」も顔負けの、健康蘊蓄満載の作品になっていました。

しかし、きちんと下調べして書かれたであろうこの作品は「小説として」以上に「現実として」恐ろしく、私はちょうどペットボトル片手にこの作品を読んでいましたが、途中で飲むのをやめてしまいました(いやホントに)。

しかし何でまたこんな作品を書いたのかと不思議に思っていたら、「フェティシズム・ホラー」というお題で依頼された作品だったんですね。

納得。


「テイク」

何と1987年に同人誌に発表した作品を元にして書かれた作品。

著者の歴史を感じます(そのころ私はまだ小学生かな・・)。


自我形成の歴史、つまりは「過去」を洗いざらい拾い出す「遡行性自我解析装置」なる装置の実験台にされた主人公。

次第に記憶が混乱していく主人公に語りかけ続けてくる人物は、いったい誰なのか・・。


太平洋戦争に関する、日本人の内的自己と外的自己の考察は興味深かったです。


「家の中」

コテコテのSFである「テイク」から一転して、今度はホラーです。

父が新築した自宅の和室に、10歳の「私」にしか見えない「敷きっぱなしの布団」が・・。

やがて布団の中には横たわる老婆の姿も見え始めますが、それが見えるのは、兄に犯され続ける私だけ。

三津田信三さんの「凶宅」のような雰囲気を持つ作品でしたが、淡々とストーリーが進んで行き、ラストもイマイチでした。


「虫とり」

雑誌「メフィスト」の「0番目の事件簿」という企画(作家のデビュー以前の習作をそのまま掲載するといいう企画)で掘り起こされた作品。

元々はSF同人誌用に書いた作品だそうです。

バイオロイドに発生するバグをデバッグするのが仕事の「おれ」と「クラム」。

しかしいくらデバッグしても、次から次にバグが発生し・・。


ミステリ的要素が含まれたSF、というところが後の(現在の)西澤保彦さんの作風をすでに表しているようで、面白く感じました。


「青い奈落」

「重力が反転する世界」の夢をみる主人公。

それはあくまで「夢」だったはずですが・・・。


著者本人もあとがきに書いていますが、私も、この眩暈を起こしそうなイメージの作品は今回の収録作の中ですごく気に入りました。

「うつし世は夢、夜の夢こそまこと」-私の頭には、この有名な言葉が浮かんできました。


マリオネット・エンジン

書き下ろし作品です。

「パスティッシュ造形」だの「セクスプロイタ」だの「フェティ・シフト」だの、普段読みなれない言葉が次々に出てきて、ストーリーに入り込むのに少し苦労しました。

ただSFではあるのですが、この物語を成立させる複雑なロジックの組み立てはさすがです。

やはり私は、これだけロジカルな作品が書ける西澤保彦さんの「ミステリ」が読みたい。


と言う事で、やはり「非ミステリ」だけあって肌に合わない作品が多かったです・・当り前か。

ただ、作家さんの「別の顔」もたまには面白いですね(ま、西澤保彦さんは元々SF寄りのミステリが多いですが・・・「チョーモンインシリーズ」も好きです)。

とにかく、「匠千暁シリーズ」を早く読破せねば。







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2009/03/07 23:59|・西澤保彦TB:0CM:0

 

「匠千暁(タック&タカチ)シリーズ」
 ・解体諸因・・・講談社ノベルス(’95)、講談社文庫(’97)
 ・彼女が死んだ夜・・・カドカワノベルズ(’96)、角川文庫(’00)、幻冬舎文庫(’08)
 ・麦酒の家の冒険・・・講談社ノベルス(’96)、講談社文庫(’00)
 ・仔羊たちの聖夜(イヴ)・・・角川書店(’97)、角川文庫(’01)、幻冬舎文庫(’08)
 ・スコッチ・ゲーム・・・角川書店(’98)、角川文庫(’02)、幻冬舎文庫(’09)
 ・依存・・・幻冬舎(’00)、幻冬舎ノベルス(’01)、幻冬舎文庫(’03)
 ・謎亭論処(めいていろんど)・・・祥伝社ノン・ノベル(’01)、祥伝社文庫(’08)
 ・黒の貴婦人・・・幻冬舎(’03)、幻冬舎文庫(’05)
 ・身代わり・・・幻冬舎('09)、幻冬舎文庫('12)

「神麻嗣子(チョーモンイン)シリーズ」
 ・幻惑密室・・・講談社ノベルス(’98)、講談社文庫(’03)
 ・実況中死・・・講談社ノベルス(’98)、講談社文庫(’03)
 ・念力密室!・・・講談社ノベルス(’99)、講談社文庫(’04)
 ・夢幻巡礼・・・講談社ノベルス(’99)、講談社文庫(’04)
 ・転・送・密・室・・・講談社ノベルス(’00)、講談社文庫(’05)
 ・人形幻戯・・・講談社ノベルス(’02)、講談社文庫(’05)
 ・生贄を抱く夜・・・講談社ノベルス(’04)、講談社文庫(’07)
 ・ソフトタッチ・オペレーション・・・講談社ノベルス('06)、講談社文庫('10)

「城田理会警視シリーズ」
 ・殺す・・・立風書房('98)、ハルキ文庫('00)、幻冬舎文庫('11)
   (「猟死の果て」(立風書房→ハルキ文庫)から幻冬舎文庫版発売に際し改題)
 ・狂う・・・幻冬舎('11)、幻冬舎文庫('13)
   (「彼女はもういない」(幻冬舎)から文庫化に際し改題)

「森奈津子シリーズ」
 ・なつこ、孤島に囚われ。・・・祥伝社文庫(’00)
 ・両性具有迷宮・・・双葉社(’02)、双葉文庫(’05)
 ・キス・・・徳間書店('06)、徳間文庫('11)

「腕貫探偵シリーズ」
 ・腕貫探偵・・・実業之日本社('05)、ジョイノベルス('07)、実業之日本社文庫('11)
   (「腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿」(実業之日本社→ジョイノベルス)から文庫化に際し改題)
 ・腕貫探偵、残業中・・・実業之日本社('08)、実業之日本社文庫('12)
 ・必然という名の偶然(シリーズ番外編)・・・実業之日本社('11)、実業之日本社文庫('13)
 ・モラトリアム・シアター Produced by腕貫探偵・・・実業之日本社文庫('12)
 ・探偵が腕貫を外すとき 腕貫探偵、巡回中・・・実業之日本社('14)

「ぬいぐるみ警部シリーズ」
 ・赤い糸の呻き・・・東京創元社('11)、創元推理文庫('14)
 ・ぬいぐるみ警部の帰還・・・東京創元社('13)

「ノンシリーズ」
 ・完全無欠の名探偵・・・講談社ノベルス(’95)、講談社文庫(’98)
 ・七回死んだ男・・・講談社ノベルス(’95)、講談社文庫(’98)
 ・殺意の集う夜・・・講談社ノベルス(’96)、講談社文庫(’99)
 ・人格転移の殺人・・・講談社ノベルス(’96)、講談社文庫(’00)
 ・死者は黄泉が得る・・・講談社ノベルス(’97)、講談社文庫(’01)
 ・瞬間移動死体・・・講談社ノベルス('97)、講談社文庫('01)('12新装版)
 ・複製症候群・・・講談社ノベルス(’97)、講談社文庫(’02)
 ・ストレート・チェイサー・・・光文社カッパ・ノベルス(’98)、光文社文庫(’01)
 ・ナイフが町に降ってくる・・・祥伝社ノン・ノベル(’98)、祥伝社文庫(’02)
 ・黄金(きん)色の祈り・・・文藝春秋('99)、文春文庫('03)、中公文庫('14)
 ・夏の夜会・・・光文社カッパ・ノベルス(’01)、光文社文庫(’05)
 ・異邦人 fusion・・・集英社(’01)、集英社文庫(’05)
 ・聯愁殺(れんしゅうさつ)・・・原書房('02)、中公文庫('10)
 ・ファンタズム・・・講談社ノベルス(’02)、講談社文庫(’06)
 ・リドル・ロマンス 迷宮浪漫・・・集英社(’03)、集英社文庫(’06)
 ・神のロジック 人間(ひと)のマジック・・・文藝春秋(’03)、文春文庫(’06)
 ・笑う怪獣 ミステリ劇場・・・新潮社('03)、新潮文庫('06)、実業之日本社文庫('14)
 ・いつか、ふたりはニ匹・・・講談社ミステリーランド('04)、講談社文庫('13)
 ・パズラー 謎と論理のエンタテインメント・・・集英社(’04)、集英社文庫(’07)
 ・方舟は冬の国へ・・・光文社カッパ・ノベルス(’04)、光文社文庫(’07)
 ・フェティッシュ・・・集英社(’05)、集英社文庫(’08)
 ・春の魔法のおすそわけ・・・中央公論新社('06)、中公文庫('11)
 ・収穫祭(上)(下)・・・幻冬舎('07)、幻冬舎文庫('10)
   (「収穫祭」(幻冬舎)から文庫化に際し分冊)
 ・夢は枯れ野をかけめぐる・・・中央公論新社('08)、中公文庫('10)
 ・スナッチ・・・光文社('08)、光文社文庫('11)
 ・マリオネット・エンジン・・・講談社ノベルス(’09)
 ・動機、そして沈黙・・・中央公論新社('09)、中公文庫('12)
 ・こぼれおちる刻(とき)の汀・・・講談社('10)
 ・からくりがたり・・・新潮社('10)
 ・幻視時代・・・中央公論新社('10)、中公文庫('14)
 ・幻想即興曲・・・中央公論新社('12)
 ・下戸は勘定に入れません・・・中央公論新社('14)

「共著・アンソロジー等」
 ・大密室(「怪獣は密室に踊る」所収)・・・新潮文庫('02)
 ・死神と雷鳴の暗号(「通りすがりの改造人間」所収)・・・講談社ノベルス('02)、講談社文庫('06)
   (「本格ミステリ02」(講談社ノベルス)から文庫化に際し分冊・改題されたものの第二弾)
 ・絶海・・・祥伝社ノンノベル('02)
 ・赤に捧げる殺意・・・角川書店('05)、角川文庫('13)
 ・あなたが名探偵・・・東京創元社('05)
 ・七つの黒い夢・・・新潮文庫('06)
 ・ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑 2010・・・講談社('10)
 ・0番目の事件簿・・・講談社('12)
 ・10分間の官能小説集 2・・・講談社文庫('13)

「コミック化」
 ・16秒間の密室 タック&タカチの事件簿 大橋薫/画・・・秋田書店サスペリアミステリーコミックス('05)
 ・6つの箱の死体 タック&タカチの事件簿2 大橋薫/画・・・秋田書店サスペリアミステリーコミックス('06)




'14.9.26 改訂12版
太字は私の既読作品です)







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2008/12/11 23:21|西澤保彦著作リストTB:0CM:0

 

スナッチスナッチ
(2008/10/22)
西澤保彦

商品詳細を見る
22歳だった。次の日、ぼくは53歳になっていた。 空白の31年。ぼくは。きみは。ぼくたちは。少しは幸せだったのだろうか。 彼を襲ったのは、不条理でやりきれない、人生の黄金期の収奪。あらかじめ失われた、愛しい妻との日々。おぼえのない過去を振り返る彼に、さらなる危険が迫る! 銀色の雨にうたれ、肉体を乗っ取られた男。31年ぶりに目を覚ました彼の見たものとは? 見知らぬ過去をめぐる、異才渾身の傑作書下ろし長編。

何の予備知識も無しに、突然西澤保彦さんの「スナッチ」を読みました。

ちなみにサイン本です


西澤保彦「スナッチ」サイン本


どんなストーリーなのか、そもそもミステリなのかどうかも分からずに読み始めましたので、何も事件が起こらなかったらどうしよう、と変なドキドキ感を味わいながら読んだのですが・・

流石は西澤先生、しっかり楽しめました

一言で言うと、「SF的な設定を使いつつも本格ミステリの骨格を持った、ちょっぴり感動もする小説(健康蘊蓄のおまけ付き)」でした。

全然一言じゃないな・・

ちなみに巻末のあとがきでは、著者自ら「SFとしても、ミステリとしても、ある意味、中途半端で、どちらかといえばストレートノベルの趣に近くなってしまった」と述べています。

ま、なにはともあれ「SF設定のミステリ」というのは西澤先生の十八番ですよね


昭和52年1月、主人公は22歳の「ぼく」。

大学卒業を目前に控え、結婚を前提に付き合っている彼女の両親に挨拶をするため、東京から高知にやってきた主人公ですが・・突然降ってきた雨が、主人公や周りの人たちを銀色の光で包みこみ、そのまま意識を失ってしまいます。


目が覚めるとそこは平成20年。

新聞にはカラー写真が載っており、リモコンで操作ができるテレビには真空管が入るような厚みが無い、不思議な世界。

そして彼女とは、すでに離婚してしまっている世界・・。

そして何より問題なのは、22歳の「ぼく」が目覚めたのは、あくまで53歳の「僕」の体の中。

この体は53歳の「僕」の体であり、22歳の「ぼく」の意識が勝手に動かすことはできないらしい・・という事を、「ぼく」は「僕」から教えてもらいます。

1つの体に2つの意識。

そう、実は31年前のあの日、銀色の雨として地球にやってきた異種生命体に「ぼく」の体は乗っ取られてしまっていたのです

しかもオリジナルの人格が戻ってきた場合は高い確率で死に至る事を知り・・。


とまあ、思いっきりSF調に話が進んで行き、「ホントにミステリ小説か?」と不安になった頃、ついに事件が起こります。

何の繋がりも無さそうな人たちが立て続けに殺され、4人目の犠牲者として主人公の元妻(元彼女)も殺害されます。

どの現場からも同じ指紋が採取される中、さらに5人目の犠牲者が・・。


後半はしっかりとミステリしてくれていました

女性タクシードライバー、妙に親切な刑事、そして何より序盤に登場した「大金を持った謎の美女」。

色々な謎が終盤きちんと回収され、安心して読めました

本格ミステリばかり読んでると、謎が謎のままほったらかされたり、終盤に突然容疑者や真犯人が登場するような小説は読めなくなりますよね

西澤先生の作品もまだまだ未読が多いので、早く他の作品も読まないと







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2008/12/07 23:52|・西澤保彦TB:0CM:0

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